第4話
彼は建築家だった。家族のために理想の家を頑張って建てた。
今、そこに一人。三人の娘達は誰も寄り付かない。認知症が進んで
この暑い夏もてくてく歩いて歩いて、真っ黒に日焼けした腕も顔も
痩せこけて体重は昔の半分しかない。口癖は食欲はない、元気が出ないんだ、
何を飲んでも効かないなー。
この家の何が悪いのかなー?誰も来ないんだ。
一人でご飯を食べても美味しくないのだろう、だから昔馴染みのお店に行って食べたと。本当なのかはわからない。
広い家はがらんとして静かで、彼の几帳面な性格を表していてきちんと整理された書類はまとめて置いてある。
もう年を取りすぎて疲れた、何日も気がついたら過ぎてた、
寝ている間にいろいろ盗まれた、
わかってる、やったのは親戚だ。
彼はただ一生懸命働いて居場所を建てたはずなのに。
今はそこに居られない。
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