人は血管と共に老いる

19世紀の医師であるウイリアム ・オスラー博士の言葉に「人は血管と共に老いる」という言葉があります。

歳を重ねると共に動脈硬化や循環器系の疾患のリスクが上がることから動脈の老化=人間の老化とウイリアム博士は定義しました。

ここ二十年ほどの科学技術の進歩によって検査機器の精度が向上してわかってきたことの一つに、心臓を中心とする循環器やそこにつながっている大動脈も重要なのですが、末端の血管である毛細血管もまた重要であることがわかっています。

毛細血管にはさまざまな役割があるのですが、そこは専門家ではないので割愛します。毛細血管に関する書籍を読んだ方が早いと思います。

毛細血管は加齢と共に徐々に老化するのですが、実は毛細血管の老化を加速させる原因があります。

それが高血糖です。過剰な糖質とたんぱく質が結びつく体内での変化を糖化と言います。糖化によって生まれたAGE(終末糖化産物)が毛細血管を老化させます。

メカニズムとしては毛細血管の血管内皮細胞の受容体がAGEを取りこみます。その結果、大量の活性酸素が発生して血管にくっついている細胞にダメージを与えて死滅させてしまいます。すると毛細血管と細胞の間に隙間が空いてしまいます。血液が組織内に漏れ出し、酸素や栄養を細胞の隅々まで届けることができなくなります。二酸化炭素や老廃物を回収することができなくなり、細胞にそれらが蓄積していきます。毛細血管のゴースト化と呼ばれる現象がコレです。土砂崩れなどの災害で陸の孤島と化した村を想像してもらうとわかりますが、インフラが回復せず、食料が供給されないと村の人々はいずれ死んでしまいます。細胞も同じです。

最新の研究でゴースト血管は、がんや認知症や骨粗しょう症などの病気と関連していることがわかってきました。また血管のゴースト化は単に病気になるリスクが高まるだけでなく、病気の治癒率も低くなります。血液によって運ばれる薬が充分に届かないため、薬の効きが悪くなるからです。

毛細血管は加齢と共に減少していきます。それ自体は避けられないものですが、ゴースト血管は血管伸長の働きによって防ぐことができます。毛細血管がゴースト血管にならないようにするには血流をよくしたり、血管をしなやかにしたり、血糖値を上げないことが有効です。

血流を促進するにはLシトルリンというサプリメントがオススメです。スクワットなどの運動強度の高い運動もいいでしょう。

血管をしなやかにするにはお酢を積極的に摂取したり、亜麻仁油に含まれるαリノレン酸や青魚に含まれるEPAやDHAを摂取することや健康に悪影響を及ぼすトランス脂肪酸を含む食品を摂取しないようにすることが大事です。

血糖値をなるべく上げないためにはタンパク質が豊富な食品を食べてから炭水化物(糖質)を摂取することが有効です。肉や豆腐などのタンパク質を食べてから白米やパンなどの主食を食べるようにしましょう。食物繊維が豊富な食材を食べるのも血糖値の上昇を抑制する効果があります。

裏技になりますが、シナモンやヒハツを摂取するとゴースト化した毛細血管を復活させることができます。


ではまた明日。

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