妹と食べる昼食

俺と菜月のお昼ご飯は中等部と高等部の校舎に挟まれた中庭で食べることが多い。そして今日は雲ひとつない青空。この天気なので、中庭で昼食を食べる生徒も多いこと多いこと。




「いただきます」


「いただきます!」




今日のお昼ご飯は、おにぎり3個に卵焼き、唐揚げにハンバーグ、野菜サラダにデザートという盛り合わせだ。もちろん菜月の手作り。そして・・・




「でもお兄ちゃん、円香さんが後ろにいるけどいいの?」




俺のすぐ後ろには、一人で手作り弁当を食べる円香の姿があった。




「あら奇遇ね。彰人くんに菜月ちゃん」


「奇遇じゃないでしょ!円香さんこそ、お兄ちゃんに何か用ですか?」


「私は天気がいいからせっかくだし、中庭でお昼ご飯を食べようと思っただけよ。決してやましいことを企んでるわけじゃないわ」


「いいえ。円香さんの目は絶対、やましいことを考えている目です。それにお兄ちゃんと一緒にご飯を食べるのは妹の特権です!」


「それを言うなら彰人と一緒にお昼ご飯食べるのは幼馴染みの特権よ!」


「やっぱり円香さん、やましい目をしてましたね!お兄ちゃん、あんな泥棒猫からもう離れましょう!」




どういうわけか、菜月と円香は昔から仲が悪い。会うたびに口喧嘩してるし、テレビでも全く共演しない。噂では共演NGの芸能人の名前に上がっているほどだ。




「まどまどと菜月ちゃんが仲悪いって噂、やっぱり本当だったんだ・・・」


「しかも仲悪い原因が一人の男を巡ってって・・・大ニュースじゃない?」


「しっかし、妹と幼馴染みから愛される男って羨ましいわね・・・」




中庭で食事を取る生徒の視線は、俺たち3人の方角に向けられていた。そして3人が昼食を食べ終えると・・・




「私、これから仕事があるので早退します!お兄ちゃんと円香さんはせいぜい、仲良くしてください」


「・・・これで邪魔者はいなくなったわね。私、彰人はずーっと一緒にいたいな♡」




菜月は明らかに機嫌を悪くして学校を後にした。そして、円香が俺に向ける視線はどこか怖かった。

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