第50話それぞれ4
久しぶりに静江をグリルに誘う。両替の手伝いに対してお昼を奢ると約束している。
「次長が私に串カツ屋の集金を聞いていたよ」
もう集金は私に代わっている。私にも容疑をかけているのだろう。
「ね、日曜日映画行かない?」
「いや、用事がある」
彼女は銀行では人気がある。こうしてグリルに行くだけでいらぬ噂をたてられている。別れると両替を届けに回る。4時には父とマンションで会う。
「迷惑かけたな」
缶ビールがテーブルの上にある。これはかえでを抱いたことへのお詫びのようだ。
「彼女もよかったと言っている。ところで今日は仕事の話だよ」
簡単に平さんの説明をした。明日にでも行くという。缶ビールの横に手紙がある。私は手に取ると中を読む。母からだ。お好み焼き屋は赤字続きで1千万の借り入れを銀行から借りるので私に保証人になれということだ。封筒の中に融資申込書が入っていて保証人欄に印が入っている。まことに母らしい。父は黙って申込書を破る。
おかんの店には9時半に行く。またおかんの親父がかえでの横にいる。おかんが追い払うように席を開ける。最近は早く終わるようになっている。かえでは鞄の中からノートパソコンを出してくる。
「提案よ。次の作品は二人でやらない?」
「絵は描けないよ」
「すみれとして文章を書くの。絵は私が描く。昔やったような交換絵物語よ。私のブログにすみれも入れるようにしたわ」
かえではプロフィールのところに二人で撮った黒のTバック姿を貼り付けている。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます