第20話別れの時4
私は化粧に凝りだした。髪も長めになって少しずつ自分が変わってきているような気がしている。もうかえでにしてもらわなくとも化粧が自分でできる。彼女が持っている女性週刊誌をベットで密やかに見ている。かえでは非常階段い出ることは少なくなってベットでパソコンをしている。
私は裏の森にある楓を見ている。もう肌寒い季節が来ている。秘密基地には1週間に一度の割合で入るが大半が私の女装が中心だ。今日も1時間ほど入っている。かえでが私を絵に描くというのだ。それで化粧をして半裸で胸を手で隠している格好をさせられた。
「ひろし君は体はしっかりしてるけど、化粧をするとほっそり見えるね?それに私の肌よりずっとつるつるしている。羨ましい」
と言いながら鉛筆でデッサンをしている。これをパソコンに下絵として写すのだそうだ。そこで色を付けていく。わずかの間に凄く上手くなっている。
「検査はどうだった?」
「数値はよくないわ。先生は次に風邪を引いたら危なくなると言っている」
「でも顔色は良くなっているし少しふっくらしてように思う」
とくに胸が膨らんできたように思う。
ドアがノックされる。それで慌てて化粧を落とし髪型を戻す。かえでは画用紙を丸めて布袋にしまう。それから15分後にドアを開けて廊下に出る。そのまま非常階段に移る。
「あの看護婦、新しい恋人ができた見たい」
「誰?」
「新しく私の部屋に入ったおじさんよ。やはり1万円を取ってるようよ」
「どうしてわかる?」
「口止めされたの」
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