第19話別れの時3

「どう見てみる?」 

 かえでに言われて鏡を見る。自分の顔であって自分の顔でないような気がする。今日は秘密基地でかえでに頼んで化粧をしてもらった。

「ひろし君て妹のようだわ」

「一度幼稚園の時に人数合わせに姫さんにさせられた。その時胸が熱くなった」

「心は女かもね?キッスしてもいい?」

 かえでの濃厚なキッスだ。これも週刊誌で覚えたようだ。

「今日は駄目よ。4時から検査があるの」

と言ってキッスは辞めない。

 私は目をつむっている。

「何だか変よ。男になったみたい。私も髪がほしい」

 かえでは私の小さな乳を吸う。

「綺麗よ」

と繰り返す。

「ひょっとしたらひろし君は女の子かもしれないよ」

「そんなことあるの」

「姉さんの友達もいたと言っていたわ。女の子なのに男が好きになれずずっと姉さんを追っかけていたようよ」

「気持ち悪い?」

「好きよ」

 初めて他人この気持ちを話した。

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