4月22日(火)のメモ

今日は記念すべき日だ!

やった! やったよ!

うほーほほほ!


……おっと、僕としたことが

すっかり取り乱してしまった。

(でもメモを書いてる今はそうでもない)


今日、ステキな人と出会った!

こんな僕の心をつかんで離さない

完璧女子だ。

まさかうちの学校に、こんな

すばらしい人がいようとは!

これはちょっとしたイノベーションだ。

言い方を変えれば少女革命だ。絶対運命だ。


その少女の名は、南浦和ユキ。

うちの学校の2年生だ。

出会いは、昼休みの学生食堂。

彼女は、友人と一緒に食事に来ていた。


彼女は購入した定食をお盆に乗せて

席に向かっていたが、運びながら

揺らしてしまい、湯飲みのお茶を少し

お盆にこぼしてしまっていた。

まあ、よくあることだ。


しかし先に席で待っていた彼女の友人らは、

そんな彼女のお盆を見るや激昂し、

「中学生にもなってお茶をこぼすなんて

信じられない!」だの

「お盆にお茶をこぼすなんて、人間性を

疑われても仕方ない!」だの

「人として一番やっちゃいけないのは、

線路への置き石とお茶をお盆に

こぼすことだ!」だの、なぜか痛烈な

非難と罵声を浴びせていたのだ。


ところが、そんな友人たちの使っている

お盆を良く見ると、彼女がこぼした量を

はるかにしのぐ、ハンパない量のお茶が

こぼれている。

散々批判しておきながら、自分らは

湯飲みにほとんど残らないほどの

大量のお茶をぶちまけていた。


つまりこれは、自分たちを棚に上げる

ボケだったのだ。

この時点でも充分に面白いのだが、

果たして彼女はどう応えるのだろうかと

興味深く見ていた。


すると南浦和さん。

その様子に気付くや、大爆笑しながら

おびただしくお茶がこぼれた友人のお盆を

指さし、この状況をたったの一言。


「琵琶湖」


と返したのだ!


これは衝撃だった!

水の量の多さを指摘するワードで

即座にこれが出てくるとは。

この一言で、僕はすっかり彼女の

虜になっていた。


次の瞬間、僕は彼女にメールアドレス

を聞こうとダッシュで向かったのは

言うまでもない。

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