第29話 支援センターデビューのはなし
子供が生まれてから専業主婦となった私。
新型コロナの流行も相まって、ずっと家の中に閉じこもる日々が続いていました。
そして思ったのです。
……一日中子供と一緒に家の中に居るなんて気が狂う!!
このままじゃヤバい! そう思った私は、生後五ヶ月ころから、市の広報誌に載っていた「子育て支援センター」なるものに行ってみることに。
寝返りは打てるとはいえ、ハイハイで遊び回れるわけじゃないし、やれることも少ないだろうけど、場所が変わるだけで気晴らしになるかも。そう思って出かけた支援センター。
だけど一方で「すでにママ友の輪ができあがってて、その輪に入っていけずひとりぼっちだったらどうしよう」という不安もありました。
子供が生まれると、ママ友とかの交友関係が面倒だって言うしな……。
陽キャキラキラママさんたちの間に入っていく自信がこれっぽっちもない!!
そんな訳で、ドキドキしながら支援センターのドアを開けた私。
九時からオープンの支援センターだったのですが、十時前についた時には中に誰もいませんでした。
えっ!? 大丈夫? 本当にやってるの?
そう思ってると、中から優しそうな保育士さんが出てきました。
「あらあら、いらっしゃ~い!」
「うちの子、五ヶ月ですけど、大丈夫ですか?」
「大丈夫ですよ~、三、四ヶ月の子もたくさん遊んでますよ!」
ホッとしていると、保育士さんは奥からカラカラ音の鳴るベビージムみたいなのを持ってきてくれました。
「これで遊ぶかな~?」
私が子供をベビージムの近くのマットに下ろすと、子供はコロンと寝返りをうちました。
「あら、寝返り上手!」
「うつ伏せの体制が好きみたいで……寝る時もずっとうつ伏せなんですけど、大丈夫でしょうか?」
「自分でうつ伏せから元の状態に戻れるようなら大丈夫。それまでは、たまに様子を見てひっくり返してあげたらいいと思うよ」
親切にも育児の相談にのってくれる保育士さん、来てよかった!
それから、子供があまりベビージムで遊ばないのを見て、保育士さんは小さいペットボトルでできたマラカスみたいなのを持ってきてくれました。
するとこれが子供に大ヒット!
よほど気に入ったらしく、ずっと手に持ってシャカシャカしてました。
「これ、R-1とか飲むヨーグルトのペットボトルで作ってあるのよ。子供がちょうど握りやすい大きさみたい」
と保育士さんに作り方を聞き、早速家でも作ってみると、ずーーっとシャカシャカやって遊んでる!
これを知っただけでも行ったかいがあった!
それから保育士さんが「やみつきボックス」という「いたずら一歳」的なおもちゃを持ってきました。
いやいや、さすがにこれはまだ早いんじゃ、と思いながらもやらせてみると……なんと目を輝かせながらボタンをピッピッと押し始めたではないですか。
まだ赤ちゃんだと思ってたけど、こんなオモチャで遊べるんだ!
感激した私は早速家に帰ってそのオモチャをポチりました。今でも楽しそうに遊んでますし、成長する事にツマミを回せるようになったりできることが増えて面白いですよ。
そして十時くらいになると、段々と子供たちが増えてきました。
保育士さんたちが同じ月齢くらいの子を連れたお母さんを紹介してくれて、お話も少し出来ました。
今までは自分の子供しか見ていなかったので、どこか自分の子が子供の標準だと考えていました。
でも支援センターに行って同じような月例の他の子も見てみると、同じ月齢でも全然違うことが分かりました。
まず、うちの子は他の子供よりも明らかに小さくて細い!
うちの子は生後五ヶ月で六キロ無かったのですが、他の子は八キロとか九キロとかあって、え~っ、他の子ってこんなにムチムチして大きいの!? ってびっくりしました。
それからうちの子は三ヶ月で寝返りをマスターしてからというものずっとうつ伏せで遊んでいるのですが、まだ寝返りできない子や、寝返りは打てるけどうつ伏せになったら泣く子もいて、全然違うなぁと参考になりました。
どうも聞くと、小さくて体が軽い子のほうが身軽でよく動くみたいです。
それから懸念していたママ友問題ですが……ぶっちゃけ、みんな自分の子供を見るのに精一杯で、ママ友どころじゃないですね。
それでも毎日通ってると顔見知りはできますが、○○ちゃんのお母さん、という認識なので、子連れではなくお母さん単体で会ったらお互いに気づかないレベル。
そういう意味では、ママ友というよりはどちらかというと犬の散歩仲間に似てるかもしれません。
犬の散歩をしている時も、「コロちゃんのママ」とか「ポチくんのパパ」みたいな感じで毎日会う人のことを覚えてはいたのですが、犬を連れていない状態だと誰だか分からなかったですし、名前も住所も全く知らなかったですからね。それに近いです。
本格的なママ友とかめんどくさい人間関係があるのは幼稚園とか保育園に入ってからなのかもしれません。
そんなわけで、私は毎日支援センターに入り浸るようになったのでした。
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