【番外編】 高プロラクチン血症の話

 さて今回は番外編で、妊娠前の話です。


 一話目でホルモンの値が異常で妊娠しにくい状況だったことはチラリと書きましたが、今回はその話です。


 その異常な値だったホルモンというのは、プロラクチンというホルモンです。


 このプロラクチンというホルモン、値が高いと妊娠しにくくなるのですが、なぜプロラクチンの値が高いと妊娠しずらいのかと言うと……


 簡単に言うと、プロラクチンは母乳を出したり排卵を抑制したりする働きを持つホルモンだからです。


 出産してすぐは生理が復活しないですし、よく授乳中は次の妊娠はしにくいって聞きますよね?


 それは妊娠したり出産したりするとこのプロラクチンが高くなることが影響しているのだそうです。


 さて、このプロラクチンですが、正常値がおよそ15以下だそうなのですが、私の場合、いちばん高いときで300以上ありました。なんと正常値の20倍! これはえらいこっちゃ。


 ちなみに初めにこの件で婦人科を受診したのは、時を遡ること⚫年前……大学生の時でした。


 この時は生理が半年以上来ておらず、その前にも生理が来ても二日や三日で終わってしまうことが多く、腹痛などもほとんどありませんでした。


 この話をすると婦人科医に「なんでもっと早く受診しなかったの」と言われましたが、若い時は生理不順が多いと聞いていたので平気だと思っていたのです。


 ですが医者によると


「若いというのは生理始まりたての小学生や中学生を指す」


「生理不順というのはせいぜい一、二週間生理が遅れることを言う」


 らしいので、半年も生理が来ないのは明らかに異常だから早く病院に行きなさい! とのことでした。とほほ。


 さてこのプロラクチンですが、基準値を少し超えているくらいなら、ストレスなどで一時的にホルモンバランスを崩しているだけということも多いそうです。


 でも300を超えているとなると、明らかにそれ以外に原因があるということで、脳神経外科を紹介されました。


 脳神経外科なんて、今まで聞いた事もかかったことの無い科です。まさか脳に異常があるんじゃ……


 ガクブルしながらMRIを撮ると、「脳下垂体」という場所に腫瘍が見つかりました。


 脳下垂体というのは脳の下、ちょうど目の裏側や鼻の奥あたりにあるホルモンの分泌を司る器官です。


 最近ではガンバレルーヤのよしこさんも脳下垂体の腫瘍の手術をしたことで話題になりましたね。


 この部分の腫瘍はほとんどが良性で、自覚症状がない場合も多いので、あることに気づかずに一生を終える人も結構いるのだとか。


 しかし目の奥という場所柄、大きくなりすぎると視力に影響を及ぼすかもしれないということ。


 それとそのころちょうど大学生で、将来子供が欲しくて手術したいと思っても、働きながらだと中々手術も出来ないだろうということで夏休みを利用して、ひと思いに手術することに決めました。


 手術は鼻から内視鏡を入れて腫瘍を切るというもので、メスも使わないし、全身麻酔なので全然痛くないし、思ったよりも簡単に終わったような記憶があります。


 今ではあまり記憶も定かではないのですが、手術してから一週間もしないうちに退院したような?


 そして手術をした数週間後には無事に生理が来ました。


 その頃のプロラクチンの値は60でまだ高いのですが、とりあえず生理が来たので一安心。その後週に一回カバサールという薬を飲みプロラクチンの値を下げることに。


 この薬、人によっては目眩や頭痛、吐き気がするそうなんですが、私の場合、最初は確かに気持ち悪いと思ったのですが、飲んでいるうちに慣れました。


 ひょっとすると私はホルモンの上下に比較的強い体質なのかもしれません。


 車酔いとかはめちゃくちゃするタイプなんですが(エレベーターやブランコでも酔う)不思議です。


 それでも眠気やだるさは多少あったので、次の日眠くなってもいいように、毎週金曜の夜に薬を飲んでいました。


 しかし大学の卒業、就職、引越しなどでバタバタしてしまい、生理も順調にきていたこともあり、月に一度婦人科に行かなければならないはずが、その後すっかり薬を飲むことも忘れていました。


 そして今の旦那と付き合い始め、そろそろ結婚でも……という頃、ふと気づいたのです。


 あれっ、もう三ヶ月くらい生理来てなくね……?


 検査薬を試しても妊娠してないし……と思ったところで、はたと思い当たります。


 そういえば私、プロラクチンが高いんだった! しかも最近薬も飲んでない!!


 そこで再び婦人科に通い始めるのですが、その時のプロラクチンの値は90。


 なんだ全然高くないじゃんと思ったんですが、それは元が300だからで正常値は15なので充分高い値。


 医者もこの値だと排卵はないかもしれないと言っていました。


 そんな訳で、一度中断していたプロラクチンを下げる治療が再び始まったのです。


 そして何とか薬を飲みつづけているうちにプロラクチンの値が下がり、妊娠したというわけ。


 ……というわけで色々書いたのですが、最後に私が言いたいことは一つ。


 よくTwitterでは「生理が重すぎる人や量が多すぎる人は病気かもしれないので病院へ行って!」といったようなツイートが流れてきます。


 ですが生理が来なかったり、三日ぐらいで終わってしまったり、軽すぎる人も病気の可能性があるので、是非とも病院へ行っていただきたいです。


 私も生理三日で楽だし、腹痛も気分の上下もほとんど無くて楽~と思ってたら排卵してませんでしたからね。何事もほどほどが重要です。


 でもたとえ高プロラクチン血症と診断されても、私のように薬を飲んでいればプロラクチンの値も下がるし妊娠するので、そこまで悲観する必要はないと思います。


 それにしても、人の体はホルモンという名の化学物質によって動いているのだとこの件で強く実感しました。


 人体って不思議~!!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る