第7話 木のお皿


 でも、それがあの伝説の聖杯だったとしたら?

 若い女性助手と博士。


「やっと見つけましたね、ジョーンズ博士」

「ジョーンズちゃうわ。私の名前は小津次郎」


「では、ジローンズ博士」

「いや、どうしてもそう呼びたいなら止めないけどな」


「いえ、私もどうでもいいです」

「どうでもいいんかい……」


「替わりに私の事はエルザとお呼びください」

「君の名前は三上晴香だよね。エルザ要素どこにも無いでしょ」


「いいんです。こう言うのは雰囲気なので。ですが発見した古文書を読み解き、やっとここまでやってきました」

「ホントだなー、大変だったなー。飛行機が落ちたのも、砂漠を彷徨ったのもお前の所為だけどな!」


「いえ、決してそんな事ありませんよ」

「いや、操縦出来もせんくせに操縦桿奪って見たり。砂漠でコンパス失くしたろうが!」


「それは、飽くなき探究心の為せる業。決してワザとではありません」

「どーして、それをワザとじゃないと言い切れる?」


「でも、無事辿り付けたんだから、もういいじゃないですか」

「ああ、そうだねー、何度も死にかけてたけどねー」


「ほら、見てください、この扉! この向こうに伝説のあの聖杯が眠ってるんです」

「はい、はい、とっとと開けて見ようねー」


「では! 行きます……あ!」

「どうした?」


「中に何か居ました」

「なに! それはあれか、古文書に書いてあったお宝を守りし伝説の騎士なのか」


「いえ、子供です。身なりのきったない子供です」

「お前、辛らつだなー」


「はい、私のショタコンは6歳までです」

「いや、君の性癖の事は良いから……でも、何故こんな人気も無い砂漠の果てに子供がいるんだ。不思議だな」


「よし、あの子供を問い詰めてみましょう」

「お手柔らかにね」


 二人は扉を開け中に入り少年を問い詰めた。


 すると少年は、おじいちゃんはいつも木のお皿を使っていたので、お父さんとお母さんがおじいちゃんとおばあちゃんになった時の為に、この木のお皿を守っていると答えた。


「ううう、泣ける話です」

「いや、違うだろ」




 インディ・ジョーンズ最後の聖戦とグリム童話のコラボです。知らない人にはごめんなさい。

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