第5話 灰かぶり姫


 だが残念な事にその灰には大量の〇〇〇が含まれていた……。


 そして、シンデレラの身体は見る見るうちに変異していく……。

 その皮膚は鋼鉄のように固くなり槍をも通さず。

 その筋肉は見事に肥大しクマすら軽く凌駕した。

 そして、その拳はこの街の名物の巨大カボチャを撃ち抜いた。


 彼女の眼には煌々と明かりをともす不夜城。

 彼女は大地を蹴って飛び上がる!


 緩い放物線を描き着地する。その衝撃にお城は揺れた。


 パニックに陥る舞踏会に集まった貴族たち。

 そこへ、シンデレラは現れる。

 皆が固唾を飲んでそれを見守る。


 そして、舞踏会が始まった。いや、武闘会?


 喚声にも似た悲鳴。舞い散る花びらのような血飛沫。人々は踊り狂う様に逃げ惑う。

 その阿鼻叫喚は楽団員の奏でるロンドの様に……。


 零時を告げる鐘は鳴る。


 シンデレラは月を見上げる……。

 そして、高らかに笑い声を上げ、動く者の無くなったお城から飛び去って行った。



 翌日。


「王子様これを!」


 視察を終えお城に帰ってきた王子様一行が惨状を目の当たりにする。

 そして、側付きの騎士の指さした先にあった物……。

 そこには、シンデレラの着陸の衝撃と熱でガラス化した床材があった。



 こうして、お城の王子様は町中にお触れを出しました。


 WANTED! このガラスの足型の者を見つけよ。報酬:金貨100枚


 ただし……


  “生死は問わず!”



 めでたし、めでたし。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る