狙われた人


 とある繁華街の最寄り駅のホーム。青年は点字ブロックの上でスマートフォンを触りながら電車を待っていた。


 アナウンスが聞こえてくる。電車がまもなく到着するとのこと。横から電車の明かりが見えた時、すぐ背後から中国人同士の会話が青年の耳に入ってきた。


「◎%□✕/☆△」


「✕〇%/☆」


 中国語だったが、偶然にもそれを身につけていた青年には何を喋っているのか理解できた。彼の脳内で自然に翻訳されていた。


「前の奴をホームに落とそう」


「それがいい」


 遅かった。


 電車の警笛が駅のホームに鳴り響いた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る