隣人
眠りにつこうとベッドに横になった時だ。
「あーまたかよ」
青年がこの部屋に引っ越して一週間、毎夜欠かさずに隣の部屋から男女数名の喘ぎ声が聞こえてくるのだ。壁が薄いこともあって余計に生々しかった。隣の住人を見たことはないが、おそらく大学生が乱交パーティを開いているのだろう。
喘ぎ声とベッドの軋む音は軽く一時間を超えた。ひどい時は三時間もあった。当然、青年は眠れない。毎日がこれなので不眠症になりそうだった。
彼はイヤホンでスマホにダウンロードされた鳥のさえずりを聞きながら何とか眠った。
翌日の朝。
レオパレスにするんじゃなかった、そう嘆きながら青年は管理人室に向かった。隣人への苦情を伝えるためだ。
扉をノックして「どうぞ」と声がすると、青年は中に入った。
「どうかされましたか」
「隣の人が毎夜毎夜うるさくて眠れないんです。なんとかしてくれませんか」
「その部屋、何号室ですか」
「103です」
「あー」と管理人は、なるほどねと納得したように頷いた。
「なんですか」
「いや、前にあなたのとこに住んでいた人もそんなこと言って出ていったなと思い出してね」
隣の住人はそんな前からも乱交パーティを開いていたのかよ、クソが、と青年は毒づきたくなった。
「でもね、仕方ないんですよ、大目に見て欲しいんですけどね」
「なんでですか」
青年は思わず怒り口調になった。
「だって家族四人で住んでいて、小さいお子さん、男の子と女の子が二人いるんですよ。そりゃ夜も騒がしくなりますよ」
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