宇宙婚活サイト
女は婚活サイトに登録していた。しかし、それは普通の婚活サイトとは異なっていた。大まかな概要は変わらない。唯一違うのは、対象である。女が使っている婚活サイトは同国の者を求めるのではない。かといって、外国人でもない。では何かと言うと、宇宙人だ。つまり、その婚活サイトは他の惑星の住人とを繋げる最新の婚活サイトなのだ。
今夜も女は仕事から帰ってくるなり、例のサイトにアクセスした。現在、いい感じになっている相手がいるのだ。その男と毎夜連絡を交わすのが、最近の女の楽しみとなっていた。
『仕事おわったぁぁぁ!!!』
『お疲れ!』
返信は翻訳されてすぐに帰ってきた。自分を待っていてくれたのかと思うと、嬉しかった。
『メニウムもお疲れ、って言っても無職なんだっけ笑』
メニウム、それが彼の本名だった。
『だから無職って言い方悪いって(笑)僕の惑星ではもうほとんど仕事はロボットに任せてるよ』
メニウムの惑星では地球より科学が進歩しているのだ。ロボットに仕事を奪われる前、彼は医者だと述べていた。
『いいなー、早く私のところもロボットがすればいいのに』
『いずれなるさ』
会話が途切れ、何か話題はないかと考えていると、メニウムからそれを切り出した。
『
その文面を見て、緊張が走った。良い話なのか悪い話なのか判断つかなかった。
『どうしたの?怖いんだけど笑』
『もう僕も35で結婚のことも子供のことも真剣に考えなきゃいけない。そこで君さえ良ければなんどけど、三日後に僕と会ってくれないか。君と話してて、もうこの人しかいないって思ったんだ』
『それって、結婚を前提に私と付き合ってくれってことでいいのかしら』
『もちろんだよ』
女は大きく息を吸った。心を落ち着かせるためだ。
『当然OKよ』
『ほんとかい!?』
『うん笑、私もメニウムしかいないって思ってたし』
『なら三日後、どこに行けばいいかな』
『日本の東京のハチ公前ってとこに来て』
『了解。自家用スペースジェット機で今すぐ向かうよ』
三日後。待ち合わせ場所に先に着いたのは女の方だった。心臓の鼓動が早なっているのが自分でわかった。初めてメニウムと会う。顔はプロフィール画面で知っているが、やはり実際顔を見合わせるとなると、それなりに緊張するものだった。
「おまたせ!」
耳につけたスペース翻訳機が反応した。左を向くと、画像で見た男が走ってきた。地球人と変わらない姿をしていた。
「おまたせ」
女はぎこちなく答えた。
「もしかして緊張してる?」
「当たり前だよ」
そのタイミングで男が女の手を握った。
「なら、デートに行こっか」
男との初デートは楽しいを超えて幸せと形容できた。緊張はすぐにとけて、心の底から満喫できた。チャット以上に話は合って、笑いが絶えなかった。この人と結婚するのか、と思うと未来の家庭が想像できたし、それがまた幸せそうだった。
日付けが変わる時刻、二人は自然な流れでラブホテルに入った。
一緒にお風呂に入ろうとなり、互いが裸になった時、男と女は同時に目を見開いた。
「里緒菜、君ちんちんは?」
「メニウム、あなたちんちんは?」
向こうの惑星では、男と女の役割が地球と反対だったのだ。
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