好奇心が強い――そのせいで人が目に留めないようなことを気にし、そこに隠された謎を解明してしまうという癖を持つ大学生・添木雛太郎。彼はある朝自室で目覚めたが、そのとなりには見知らぬ女性が眠っていて混乱する。そして目覚めた彼女に問われるのだ。自分の名前を当ててみろと。
この作品は日常の謎もので。事件自体はごく小さなもの。でも、それはメインじゃないんです。なぜなら雛太郎さんという人を描き出すためのスポットライトだから!
しつこかったり情けなかったりお気楽だったりっていう雛太郎さんの姿が、解かれるべき謎によって浮き上がる。1エピソードを読み終えてみて思うのは、謎が解けて「そうだったのか!」じゃなく、「この人○○だなー」です。魅力的とは言い難いのに、妙に気になる風情があるんですよね雛太郎さん。
せっかくのミステリーですし、あえて種明かしはしないでおきますが……そんな人だからこそタイトルもこれなんだと、意外な形で気づけるのも注目ポイントですよ!
(「魅せる人間ドラマ!」4選/文=髙橋 剛)