第4話 順調に依頼達成
街につき、早速ギルドに向かう。
道中、私の方に乗っているサンダーバードに視線が集められた。サンダーバードは滅多に見ることのできないので物珍しさから見ているのだろう。
ギルドの扉を勢いよく開ける。
「カメルさん、支部長を呼んでくれますか?」
「はい、今呼んできます」
少しして、支部長が来た。
「シオン君、話って何かな」
「依頼にあったサンダーバードですが、私が飼うことにしました。この場合は依頼失敗ですか?」
「え、飼う? 詳しく教えて」
支部長に事情を話す。
「ああ、そうだったんだ。まあ、被害がなくなるなら成功でいいよ。あれ、でも群れだった気が……」
「他に二十羽ほどいます。今は森で待機中です」
「そっか。じゃあ、ここのギルドで飼ってもいいよ。餌もこっちで出してあげるから」
「いいんですか?」
「うん、害はないからね。あ、僕も触ってみていい?」
『いやです。シオン様以外に触られたく――』
「いいですよ」
『シオン様!? いやですよ!』
「へぇ、念話か。珍しいね」
「聞こえるんですか?」
「うん、もちろんだよ。こう見えて元Aランクだからね」
『やめろ! 触るな! やめっ――』
サンダーバードが支部長に弄ばれている間に、依頼報告を行う。
「はい、依頼達成ですね。シオンさんは晴れてAランクに昇格です! おめでとうございます!」
「ありがとうございます。ついでに素材の買取もいいですか?」
「はい、こちらにお願いします」
山上ように積まれた素材は壮観だった。
「さすがシオンさんですね。うぅ……解体屋呼んできます」
さすがにこの数の素材を見るのはミリらしく、解体屋を呼んできた。
「おお、こいつぁすげぇな」
やってきたのはガタイのいい筋骨隆々とした男と助手であろう青年だ。
彼らはそれほど驚くこともなく手際良く作業をしていく。
「大金貨八枚だな」
およそ八百万円ほどだ。
「大金貨八枚!? あ、あのぉシオンさん。今大金貨二枚なら出せるので残りの六枚は後日でもよろしいですか?」
「はい、構いませんよ」
「す、すぐお金とってきますね。ついでに冒険者カードの更新もさせていただきます」
しばらく支部長とサンダーバードで遊んでいるとカメルさんが戻ってきた。
「こちら大金貨二枚です、ご確認下さい。そしてこちらがシオンさんのAランクの冒険者カードです。こちらがユーさんリコさんのCランクの冒険者カードです」
今回ので二人のランクも上がったようだ。
私のAランクの冒険者カードは金色に光り輝いている。
「シオンさん、Sランクも夢ではないですよ! 頑張ってください!」
「は、はい」
急に握手をしてきたため、口吃ってしまった。
「「「「ピーピーピーピー!!」」」」
扉が勢いよく開け放たれ何かが飛び込んできた。
なにかと思えばサンダーバード達だった。
『ここで住んでいいとの事でしたので呼びました』
「おお、こうみてみると凄いね。シオン君、折角だから名前つけてあげたら?」
「名前、ですか。…………じゃあリーダーのあなたをファースト。こっちからセカンド、サード、フォー、ファイブ――」
いい名前が思いつかなかったので適当に番号をつけていった。
『『『『ゼロ様! これからも誠心誠意ゼロ様の役に立てるよう頑張っていきます!』』』』
どうやら私はゼロになったようだ。
「じゃあ、これからは僕が餌をあげようかな」
「ではお願いします。肉が必要でしたら狩ってきますので」
今日のところは家に帰って、休むとしよう。
「では、帰りましょう……か? 三人はどこに?」
帰ろうかと三人に振りかえると誰もいなかった。
どこにいったのだろうか。辺りを見回してみるとあの三人はギルドに併設されている食事処の席に座っていた。
しかもすでに料理を注文している。
「シオン様ー、お昼食べましょう!」
「え、ええ」
どうやら私が報告をしているときに頼んでいたようだ。
そういえば、今はすでに昼過ぎ。昼食を食べていなかった。
それから昼を食べ、帰宅する。
こうして初めての依頼は無事成功した。
◇◇◇
それからも毎日依頼を受け、経験を積んでいった。
Eランク:迷子の猫を探せ
私が雷魔法や風魔法を使って町中を探し回り、無事発見。子供を作っておりその子供も一緒に飼うことになった。
Dランク:ゴブリンの群れの討伐
実際はAランク相当のゴブリンロードやゴブリンジェネラルが軍を作ろうとしていたが難なく殲滅。
Cランク:干上がった土地を回復しろ
干ばつで干上がった農業都市の畑を回復するだけだが範囲が街の倍はある畑だった。が、あまり使ってはないが水魔法も使えるので風魔法と複合し、大雨を降らせ解決。
Bランク:盗賊団の壊滅
隣町までの道中に懸賞金がかけられたボスの率いる盗賊が現れたため、訓練として三人だけで壊滅させた。危ないところはあったが大きな怪我をすることなく訓練できた。
Aランク:地下に潜む魔物の殲滅
地下道に潜んでいる大鼠や大きなGを最悪な環境の中、苦労して殲滅。ジメジメしていている上に暗く臭い、そんなところで汚い鼠やあのGと戦い今まで以上に過酷なクエストだった。皆んなから嫌われているため溜まりに溜まってこうなってしまったので、当番制で魔物の討伐を行うことになった。
そんな感じでこの五ヶ月間、様々なクエストを受け経験と力を得ていった。
まさに順調だ。
もう一ヶ月はこの街に留まるとしよう。
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