1章2節 紫苑の転生と成長
第1話 日常
私は兄さんが大好きだ。ひとりの女として兄さんを心から愛している。
あの時までは兄さんはただの男らしくない兄だったが、今では誰よりも男らしくかっこいい兄さんだ。
あの時とは、私が両親が亡くなってふさぎ込んでいた時のことだ。
私は、両親が交通事故で亡くなり、ショックで学校も休み自室に引きこもっていた。その時に兄さんの持っていたラノベに興味を持ったのだが今は割愛する。
私が引きこもり始めてから1週間程経った週の土曜日。私の部屋に兄さんが入ってきた。私は「入ってこないで」と言ったのだが兄さんは無視して入ってきた。勝手に私の部屋に入ってきて気持ち悪かった。キモい、とも思った。
そして兄さんは嫌な顔をしていた私に、抱きついた。
その時の私は兄さんをなんとも思っていなかったので、只々気持ち悪かった。でも、兄さんの次の言葉で惚れてしまった。
兄さんの言葉は今でも一言一句覚えている。
『紫苑、心配しないで、これからは僕が守るから。お父さんとお母さんが亡くなって悲しいけど、お父さんもお母さんも元気に生きろって言ってるよ……たぶん。だからさ、引きこもってばかりいないで、今まで通りふつうに暮らそ? 紫苑は僕のことが嫌いかもいしれないけど、僕も家事とか頑張るからさ』
兄さんも泣きたいのだろう 。目元が少し潤んでいた。だけれど自分より妹の私を優先位してくれた。
そう悟ったのと、兄さんのの心臓の鼓動が聴いて安心したのか、私は兄さんに抱きつかれたまま泣いてしまった。
私が人に涙を見せるのは初めてだった。だからか、私が泣くイメージなど無かった兄さんは少し驚いていた。しかし、優しく抱きしめ、慰めてくれた。
この時に私は兄さんに惚れたのだろう。それまでは双子だったので「神楽」と名前呼びだったが、「兄さん」と呼ぶようになっていた。
それをキッカケに私の兄さんに対する愛情は増していった。
♢ ♢ ♢
あれは私が高校2年生の夏休みの時だ。
私はこの夏で兄さんとイチャイチャして、最終的には夜の営みをしたいと思っている。夜の営みがまだできなくても、1年後でも5年後でも兄さんの子供を授かれればそれで良い。とにかく、まずはイチャイチャすることからだ。そうすれば兄さんも流れでするかもしれない。
あまり外には出たくないが、海に行ったり街中デートをしたり……妄想が捗る。
取り敢えず最初は海デートだ。地元住民でも知らないような浜辺を去年の夏に見つけたのだ。そこで兄さんとイチャついて、遊んで、イチャついて、遊んで、イチャついてイチャついて、イチャつきまくりたい。そして最後には愛し合ったりして…………おっと妄想のしすぎで鼻血が。妄想もほどほどにしたほうがいいのだろうが、無理だ。私は兄さんと愛し合うために生きているのだ。兄さんがいないのなら私に生きる意味は無い。なので妄想はやめられない。
さっきから私はニヤニヤしたり鼻血を出したり、おかしな人と思われるかもしれないが、幸い、兄さんは既に寝ていて、何の問題もない。
早速、明日海に誘ってみよう。そして兄さんと……
「くふふっ」
ニヤニヤが止まらない。声も出てしまった。
取り敢えず寝る準備をして、兄さんのベットに近寄り、兄さんの隣でナニをとは言わないが発散してから、兄さんに抱きついて私は眠りにつく。
「……ん、……苑、……紫苑、起きて朝だよ」
兄さんの声で目が覚める。兄さんは私が抱きついていたために目が覚めても起きることができなかったようだ。
「おはようございます、兄さん」
「ん、おはよう。まず手と足を離してくれる?」
「いやです」
「嫌じゃなくて、朝ごはん作れないんだけど……」
朝ごはんのためなら、と仕方なく手足を離す。
「じゃあ、朝ごはんできたらまた呼びに来るから。今日はフレンチトーストね」
「フレンチトースト! 兄さんの匂いを堪能してます」
「しないでほしいんだけど……ん? ちょっと湿ってる? まさか……紫苑?……」
「あ……」
ナニをとはいわないが発散したときに拭き忘れていたらしく、兄さんにバレてしまった。
まあ、いいかと兄さんは部屋を出ていった。
一方、私はというと、兄さんの枕に顔を埋めて身悶えていた。
(どうしよう、バレた。毎日兄さんの隣でしていることがバレた。ん? 逆にチャンスでは? 兄さんとナニができるチャンスでは?)
パニックになりすぎて思考がおかしくなっていた。
それにしても兄さんのいい匂いがする。
しばらく身悶えていたが兄さんが呼びにきたために熱が急激に冷めた。
1階に降りダイニングの椅子に座り、兄さんの作ったフレンチトーストを食べる。
兄さんの作ったフレンチトーストは、口に入れた瞬間溶け出すほどにフワフワで私好みの甘さだ。これはホテルの料理人にも引けを取らないだろう。これがほっぺが落ちるほどの美味しさだ。そんな料理を私が独り占めしていると思うと最高に幸せだ。
「兄さん、今日海に行きませんか?」
「海? 良いところあるの?」
「はい、去年の夏に見つけた誰もいない浜辺を見つけたのでそこに行こうかと」
「そっか……じゃあ朝ごはん食べたら準備して行こっか」
「はい!」
くふふ、これで兄さんとイチャつける準備が整った。後は浜辺に行くだけ。
今、妄想のしすぎで鼻血は出したくないので、今はフレンチトーストを味わうことに集中する。
ああ、美味しい。
兄さんと海に行った。控えめに言って最高だった。
砂浜は白く綺麗でゴミも他と比べれば少ない方だった。そして太平洋の海は程よい冷たさで今日のような暑い日には心地よかった。
移動時間が長かったものの、この場所に行くならば安いものだ。
海についてパラソルを立て早速海に入ることにした。
私は兄さんを誘惑するために黒の勝負水着。兄さんは日焼けを防ぐためかラッシュガード(?)を着ていた。
そして私は兄さんに生で日焼け止めを塗ってもらい、海に直行した。
昼頃になったので昼食を食べることにした。今日の昼食は兄さんの手作りサンドイッチだった。兄さんのサンドイッチは具沢山で食べ応えがある。しかも今日のは少し塩分が多めだ。
昼からはイチャついた。砂浜や岩場で。まあ、イチャついたと言っても私が抱きついたりファーストキスを迫ったりしただけだ。
それっぽい雰囲気のところに兄さんを連れていき同人誌的展開を期待した……が、何も起こらなかった。主にカニなどに兄さんが興味を持ったから。私はカニ以下?
そんな時間があっという間に過ぎて日が沈みかけてきた。パラソルの下で、赤い空と青い海を兄さんと並んで見ていた。
「兄さん、楽しかったですね」
「うん」
「来年の夏もまた来ましょうね」
「うん、そうだね」
「兄さん……」
私は我慢できなくなり、兄さんの唇を奪う。私のファーストキスと兄さんのファーストキスを交換する。
兄さんは私を手で押し出し、どかす。
「な、何してんの!?」
「何ってキスですよ?」
「知ってるよ! そうじゃなくてなんでキスしたの!?」
「キスをするのに理由はいりません」
兄さんと少しだけキスができた。待ちわびた兄さんとのキス。
兄さんの唇は柔らかく美味しかった(性的な意味で)。ずっと貪っていたかったが、兄さんにどかされたので出来なかった。
キスで興奮した私は兄さんを押し倒し馬乗りになる。
「兄さん、このままヤりましょう! というかヤります!」
「ヤ、ヤる!? ダメだよ!? 僕たち兄妹なんだから。そ、それにもう片付けないと」
あと少しで兄さんの壁は壊せそうだったのに、兄さんの守り中々硬い。
兄さんは恥ずかしさを誤魔化すように片付けを始めた。
私は兄さんとすることを諦め、片付けの手伝いをする。
夏休みは始まったばかりなのだから、私はまだ諦めない。
そして後日、兄さんと東京に行きデートのような買い物をした。渋谷、原宿、浅草、秋葉原などに2日をかけて訪れ楽しんだ。
私が歩けば誰もが振り向いたり凝視していたのに、兄さんを落とせていない。私は兄さんのタイプではないのだろうかと考えたのだが海に行った時は私の胸をチラ見していたので、タイプではないわけではないのだが、理性で押さえ込んでいるのかもしれない。
それは、何のとはいわないがホテルに連れて行こうとした時もいつのまにか別の連れていかれていた。私はチョロいのだろうか。
途中、兄さんを無視して私にナンパをしたりスカウトされたが、私は全てを一蹴した。そんなことに使う時間があったら、兄さんのために時間を使いたいからだ。
とにかく、面倒なこともあったがにいさんとの非常に楽しい
こうして夏休みを振り返るととても楽しい休みだった。最終日には兄さんからキスを求められたりしてキュン死するところだった。
来年は今年より楽しい夏を過ごしたい。毎日、兄さんと営みを……くふふ。
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