淡々と不思議な体験が語られます。主人公の見聞きしていることのどこからが夢でどこまでが現実か、境が曖昧で、読んでいるこちらの頭もボヤッとしてきます。そんなお話を五編、ぶっ通しで読んでいると、ますます物語に吸い込まれて、しばらく茫然自失としてしまう。電車のなかで読むと、きっと乗り過ごす。寝る前に読めば、きっと不思議な夢が出迎えてくれる。そんな新境地を体験させてくれる短編集です。