第26話 ダンジョン第十階層:ジャングル

「先輩、レイラ王女いないですねぇ。」


僕と先輩の佐藤は、現在ダンジョン第十階層の最終地点へと到達していた。

しかし、未だにレイラ王女には会えていない。

早く会い、王都にツインヘッドエイプの軍団が迫っていることを伝えなければダンジョン攻略を終えても帰るところが無くなっているかもしれない。

この惑星への直接の関与が日本の法律で禁じられているとはいえ、このダンジョンに関しては別であり、このダンジョンがツインヘッドエイプに奪われることはないだろう。多分。

しかし、あのツインヘッドエイプは一筋縄ではいかないらしい。

詳しいことは機密ということで教えられてもらっていない。


「もっと先へ行ってるんだろ。第十一階層に降りるぞ。」

「はい。」


第十一階層は丘陵地帯だ。

ヤギがたくさんいる。勿論、ホログラムであり、実際にはいない。全て、ヤギのバケモノであり、入場者を襲ってくる。レベルは10から20と様々だが、それほど強くはない。


「ここからは見えないな。どうだ?レーダーに反応はあるか?」

「レーダーが使用不能になってますね。可怪しいですね。通信も阻害されてますし。」

「歩いて探すしかないか。行くぞ。」

「少し休憩しましょうよ。」

「何言ってるんだ。職を失うかどうかの瀬戸際だぞ。踏ん張れ。」

「はい。それで先輩、山岸さんとはどうなったんですか?」

「どうもなってないよ。」

「付き合うんですか?」

「どうしようかな、レイラ王女くらい胸があればよかったんだけどな。でも、出会いもないしな。」

「でも、レイラ王女って髪の色が銀色でメラニン色素がほぼないじゃないですか。」

「そうだな。」

「もしかして乳首はピンクですかね?」

「知らねぇーよ!でも、多分そうだろうな。お前スケベだなぁ。」

「そういう先輩も。ハァーッ。お互い早く彼女作りたいですね。現地の人は監視対象だから関係を持つのが禁止されてますしね。」

「誰が作ったんだろうな、その法律。」

「本当ですよ。巫山戯てますよね。現地にいる者の気持ちも考えろっていうんですよ、ねぇ。」

「そうだよな。女旱の俺たちだが、一方、アスランは三人も女性を侍らせてる。羨ましいったらありゃしない。しかも、レイラ王女もエイレム・デミレルも巨乳だし。ハリカ・デュランは・・・・、彼女はまぁいいか。」

「そうですね。ハリカ・デュランはどうでもいいですよね。それ程美人でもないし幼児体型だし・・」

「そうだな・・・ハハッ・・何か、俺たち寂しいなぁ。」

「そうですね。先輩、この際、山岸さんと付き合ってくださいよ。それで、僕に山岸さんの友達を紹介してくださいね。お願いしますよ。」

「おう、任せろ。」


寂しい男が二人、レイラ王女を探してこの第十一階層の丘陵地帯を歩き続ける。

一体どこまで行ったのやら・・



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第九階層の終点付近へ私達は転移した。

ここから階段を探して降りれば第十階層だ。

階段はすぐに見つかった。


階段を降りればこの灼熱地獄ともおさらばだ。

階段を降りるとジャングル?

ここは蒸し暑い。容赦ない日差しが降り注ぐ。第九階層の乾燥した気候とは真逆の湿度過多。お肌には良いのだろうが虫がいそうだ。蛇もでそうだ。ヒルが落ちてきた日には目も当てられない。

しかし、ここにでてくる虫はホログラムだろう。大丈夫だ。多分。しかし、嫌悪感は精神的なものだから本物だろうが偽物だろうが私が嫌悪すれば同じことだ。だから、偽物だから大丈夫だと思いこめば何とか対処できるだろう。


「殿下?」

「ん?どうしたの?」

「殿下は虫がお嫌いでしたわね。ここ虫が出そうですわよ。大丈夫ですか?」

「ここの虫は現実の虫ではないから大丈夫よ。・・・多分・・・ん?、あ、あれ?何、あの巨大なの?虫?」


十メートルほど前に足が何本あるのか数えるのも嫌になるほど多くの脚を蠢かせながらゆっくりと獲物を狙うように巨大なゲジゲジが向かってくる。数百匹。


ゲジゲジLv.10。


全てのゲジゲジがレベル10だった。

私は動きを止めた。動けなかった。気持ち悪いぃ、身の毛がよだつぅ、ち、近寄るなぁ!


「あっちいけぇ!」


叫んでいた。


次の瞬間、数百匹のムカデは風で100メートルほど先に吹き飛ばされていた。

ふぅ~、一安心だ。

木はそのまま存在していた。

木はアンディストロイアブルオブジェクトなのだろう。

木も壊れるようにアップデートしてもらいたい。

前世で嵌っていたGTAではビルが壊れなかった。できればビルも壊れてほしかった。ビルが壊れたら爽快感が増すだろうとは思っていたが、この時代で木が壊れないのは少々興ざめだ。鈴木さんならなんとかしてくれるだろう。


「アスラン!任せたわよ。殲滅してきて!エイレムやつら燃やして。ハリカ、もう少し胸大きくしなさい。」

「なぜ、ボクだけ?」

「はい、姫様。燃やし尽くしますわ。『フレイムオブアセチレン』」


アセチレンの高温の炎がゲジゲジLv.10を燃やし尽くす。

その場にいたアスランとともに・・・え?


「アスラン、何やってるの、なぜ、虫の真ん中で戦ってるのぉ?」


アスランが炎に包まれながら戻ってきた。


「お、お前が殲滅しろって言ったんだろ!なのに『なぜ?』って、理不尽!!」

「ごめんなさいぃ。だってしようがないじゃない。虫よ、虫がいたのよ。しかもあんなに沢山。私鳥肌立ったわよ。」

「あれは虫じゃないだろ、節足動物と言うらしいぞ。」

「関係ない。虫は虫。」

「だったら虫を無視しろ。」

「ダジャレ?」

「無視すれば普通に戦えるだろ。」

「じゃあ、あなたはGたべれるの?」

「なぜ?食べられるわけ無いだろ。」

「でしょ?結局、心に刻み込まれた思い込みは変えられないのよ。あなたがGを食べることが出来たら、私も虫と戦ってあげる。」

「なんか理不尽。」

「御主人様、落ち込まないで下さい。ワタクシが慰めて差し上げますわ。この胸でお泣きになります?」

「え〰、だったらボクが・・」

「ハリカ、ゴツゴツは嫌いだ。」

「え〰酷い。御主人様冷血動物。」

「ハリカ、マイナス10ポイントぉ!」

「どうぞ、どうぞ、何ポイントでも追加して下さい。」

「くそっ。ハリカ覚えてろよ。絶対風呂覗いてやるぞ。」

「有難うございます。いつでもどこでもどうぞ。」

「あっ、でも見る胸ないからな。」

「ちくしょぉー。負けました。」


結局出た数字は『2130:50:80:20』だった。


ボタッ、ボタッ。


「なに?何の音?」

「姫様、肩になにかついてますよ。」

「キャー〰〰ッ!!!」


肩にはヒルが、しかも大きな20cmはあろうかと言うヒルが・・

血を、血を吸われる。


ブンッ!


気がつけば私はホテルのロビーにいた。

仕方がない。

レセプションに言ってお姉さんに尋ねる。


「お風呂入れるよね。」

「あれ、レイラ様。勿論お風呂は入れますが、佐藤と田中が探してましたよ。」

「どんな用事だって?」

「聞いてません。『大変だ、大変だ』って言ってました。だから、レイラ様を追いかけて第十階層から探すと言ってましたので第十階層か第十一階層に居ると思いますよ 。」

「そうなの?私達のパーティーは今第十階層攻略中だからその内会うわね。じゃあ、私はお風呂へ入って汗と虫の臭いを落とさないといけないから。」

「レイラ様は攻略に加わらないのですか?」

「私、虫は無理。だから逃げてきたの。次に第十一階層辺りからまた加わる予定よ。」

「第十一階層からまた頑張って下さい。第十一階層は丘陵地帯で敵はヤギとかですよ。」

「うん、頑張るわ。でもお風呂が先ね。」


私は風呂へと向かった。

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