第25話 ダンジョン?どこ?

 見渡す限り海、海、海。陸もなければ島もない。しかも、前から来るのはサメ。でかい、かなりでかい。未だ昼ごはん食べてたないのに俺達が昼ごはんになってしまいそうだ。


「レイラ、倒してくれぇ!は、早く!」

「駄目よ、自分でなんとかしなさい。これも訓練よ。」

「死んだら訓練もなにもないだろ。」

「大丈夫あなたは死なないから。」

「エイレム、電撃だ!痺れさせて動きを封じろ!」

「承知しましたわ、御主人様。『サンダーボルト』」


 エイレムから電撃が空中をサメに向かって走り、電撃はサメに直撃しサメは痙攣を起こす。

 そこ瞬間、俺も体中が痺れて動けなくなった!

 サメの動きは封じたが、これでは攻撃することも出来ない。


「アスラン!あんた阿呆なの?馬鹿なの?愚かなの?海中は電気が通りやすいから当然あなた達も痺れるに決まってるでしょ。サメも動けなくなるけど当然あなた達も痺れて動けなくなるわよ。」

「と、と、当然なのか?お、お、俺は知らなかったぞ。」

「早く剣で倒しなさい。」

「ま、未だ、か、体が動かない。なんとかしてくれ。レイラ、愛してるぞ。」

「もう、仕方ないわね。」

「姫様、騙されてますが、今はいいです。」

「ハリカ煩い。」


 姫は愛を囁くと言うことを聞いてくれる。

 ちょろいな。 (* ̄ ̄ ̄ ̄ー ̄ ̄ ̄ ̄)フッ.


 サメが苦しみ始めた。

 藻掻き足掻いていたサメが腹を見せて浮かび動きを止めた。


「どうやったんだ、レイラ?」

「マイクロウエーブよ。」

「まっくろうえぶぅ?」

「温めたのよ。」

「そうだろうな。俺は分かっていたぞ。」


 姫の言うことは偶に全くわからんな。しかし、分からんというのは癪に障る。これからは分かった振りをしよう。


「嘘つきね。」

「な、なぜバレた!?」

「ほら、バレたって言ってるし。」

「うぬぬヌヌヌ…」

「しかし、困ったわね。取り敢えず転移するから。」


 ブンッ!


「あれ?」


 俺達は今朝出発したホテルの前にいた。


「まず、部屋をとって風呂に行くわよ。」


 身体はびしょ濡れで寒い。とにかく風呂だ。風呂。

 姫は受付に向かってる。


「すいません。部屋あいてる?お風呂使えるよね。」

「はい大浴場は何時でも利用可能ですよ。そう言えば、うちの田中と佐藤がレイラ姫を探してましたが、お会いになられましたか?」

「いえ、会ってないけど。私達、突然どこかの海へ強制転移させられたのよ。」

「そうですか。フェムトで連絡をとっていたのですが姫様とは連絡が取れず、今は田中と佐藤の両名にも連絡が取れなくなっているんです。変ですね。」

「へぇー、そうなんだ。まぁ、何かあったら教えて。早く風呂いかないと寒いみたいだから。」

「姫様だけ濡れてないんですね。」

「私は海に落とされるような間抜けじゃないわよ。」

「レイラ、じゃあ、俺は間抜けだと言ってるんだな?そうだな?今晩お前は一人で隣のベッドだぞ。」

「ご、ごめんなさぁいぃ!許して。もう言わないからぁ!」

「じゃあ、今回だけだぞ。」

「うん。じゃあ、今晩も一緒のベッドね。」

「風呂は?」

「風呂は別でしょ。今日は転移してこないでよ。出来ないでしょうけど・・」

「出来ないだとぉ!俺に出来ないことなど・・ある!」

「出来ないことをそんな自慢げに言わないでよ。」

「いや、俺に出来ないことなどないぞ。今日も転移してやる。」

「例えできたとしても止めなさい。唯の痴漢よ。露出狂よ。」

「良いや。俺は出来るんだ!レイラは出来ないと言ったが、俺は出来る!それを証明してやる。」

「御主人様、ただ女風呂を覗きたいだけなんじゃないんですか。」

「は、ハリカ!マイナス30ポイントぉ〰!エイレムぅ、ハリカがいじめるんだよぉ!」

「ハリカ、おやめなさい。たとえ本当のことでも御主人様が傷つくわ。」

「ほ、本当のことだとぉ!?エイレム、お、お前もか。レイラぁ、皆で俺をいじめるんだよぉ。」

「よしよし。アスラン、もう大丈夫よ。」

「本当か?じゃぁ、転移してきてもいいか?」

「・・・って、やっぱり覗きたいだけじゃないの!」

「(∀`*ゞ)テヘッ」

「さぁ、エイレム、ハリカ、馬鹿は放っておいてお風呂行くわよ。」

「「はーい。」」




 くそっ、俺は一人で寂しく風呂か。

 また、いつの間にか女風呂にいたらいいのに。

 姫は転移とか言ってたが、何のことか分からない。

 意識を失くして、体が勝手に女風呂へ行くことが転移だろうか。

 だったら意識を失くした振りをして女風呂へ行けば転移したことになるな。

 よし、今日はそれで行こう。

 へへへへっ、今日も見てやるぞ、お前らの裸。待ってろよぉ!


 お湯に浸かって海で冷えた体が温まった。

 そろそろいいかな。

 よし俺は意識を失くした。

 俺は意識が無いぞぉ!

 このまま女風呂に行けばいいんだな。

 男湯を出て女湯へ入る。

 更衣室を抜け浴室へ。

 居た居た。

 よし、意識を失くした振りして入るぞ。


 ガラッ!


 扉を開ける。

 ここは白目だ!白目だと意識を失くしているように見えるだろ。

 手を前にあげた方が良いかな。良し、手を前にあげよう。

 手を前にあげて白目だ。


「キャーーっ」


 悲鳴が響き渡る。

 これで転移して来たと思うだろ。


「ゾンビよぉー。エイレム、魔法でやっつけて、ゾンビは火に弱いわよ。」

「はい。『ファイアーボンバー』」


 俺の体は火に包まれた。

 俺は男湯に逃げ帰った。


 女湯からは、『やったわ』『やっつけたわ』『でも、ご主人様に似たゾンビだったわ。』『気のせいよ、 (* ̄ ̄ ̄ ̄ー ̄ ̄ ̄ ̄)フッ.』と言う声が聞こえてきた。


 不思議と火傷は負わなかったが、今日はもう止めておこう。

 また湯舟に浸かる。

 落ち着くとまた行きたくなる。


「あー、また女湯行きたいなぁ。」

 ブンッ

(。´・ω・)ん?変な音がした

「キャーっ!!」

 なんだぁ?

 目を開けると目の前には見知らぬ裸の女性が沢山いた。

 なぜかまた女湯にいた。し、しかし、見知らぬ女性がぁーー


 消えたい、男湯に戻りたい。


「男湯にぃー!」


 ブンッ


 目を開けるとまた男湯だった。

 どう言う事だ?

 判らん。

 解らん。

 考えても分からないことは分からない。

 風呂上がろう。


 風呂から出て部屋へ帰ると三人は既に部屋で寛いでいる。


「ねぇアスラン、女湯に露出狂がでたらしいわよ。」

「とんでもない変態ですわね。」

「ナニをちょん切ってやれば良いんですよ。」

「ハリカ、それは可愛そうだぞ。」

「え、アスランは変態の肩もつの?」

「い、いやそういうわけじゃないだが・・」

「今度出てきたら裸のまんま噴水にくくりつけてやれば良いんですよ。」

「ハリカ、それはちょっと酷いぞ。ポイント減らすぞ。」

「えー、御主人様のこと言ってないじゃないですかぁ。変態の話ですよ。」

「し、しかしだなぁ。」

「ま、まさか、御主人様が・・」

「ハリカ、正式メンバーにするからもう言うな。」

「本当ですか。言ってみるもんですね。」

「アスラン、あなたでしょ?」

「はい?」

「変態はあなたでしょ?」

「何のことかなぁ?わ、分からないなぁ。 ♪~( ̄ε ̄;)」

「もうばれてるわよ。」

「で、でも変態じゃない!勝手に女湯にいたんだ。」

「覚醒してないから転移を制御できてないのよ。でも、女湯に行きたかったから女湯に行ったのよ。つまり、あなたは変態よ。」

「御主人様はやっぱり変態だったんですね。」

「は、ハリカ、マイナス10ポイントぉ!」

「なんのポイントですか?もう、僕は正式メンバーですよ。ポイント減らされても痛くもないです。」

「御主人様、落ち込まなくても宜しいですわ。ワタクシが慰まえて差し上げますわ。」

「エイレム、やっぱりエイレムは優しいなぁ。」

「さぁ、私の胸でお寛ぎ下さい。」

「う〰〰ん、やっぱり、エイレムの胸は柔らかいぞ。このままベッドに・・」

「駄目よ、これからまた攻略の続きするんだから。」


「え〰姫、精力的。それとも嫉妬?」

「んなわけ無いでしょ。少し休んだら、さっさと攻略に行くわよ。次は海?じゃなくって砂漠だったわよね。」

「砂漠嫌だ。また落ちるぞ。もう砂漠の次で良いんじゃないのか?」

「そうね。またどっかに転移させられたら貯まったもんじゃないし。砂漠の終わりあたりでいいか。」


 暫く休憩した。


「さぁ、行こうか。姫、宜しくな。」


 俺は皆を促した。


「うん。任せて。」


 ブンッ!


 景色が砂漠に変わった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る