第11話 陞爵

「アスラン・バラミール伯爵を侯爵に任ずる。但し、一年以内に領地を奪還せねばこの決定は白紙に戻すものとする。」

「有り難く拝命いたします。」


 俺の陞爵式が行われた。

 レプタリアンはこの土地をさり自分たちの国へと戻っていった。レプタリアンの敗走に功績が在ったとして俺は陞爵することになった。

 勿論、ほとんどレイラ姫の力だが・・

  しかし、これで姫との婚約に近づけた気がする。


 レプタリアンの侵略行為で街は被害を受けたが、それ程甚大な被害は少なく復興も早そうだ。

 俺は領地も失くし途方に暮れていたが、今回の陞爵の褒美として王都に家を下賜されることになった。

 しかし、暫定的な陞爵であるために屋敷はそれほど大きくはない。執事はおらずメイドが二人就くだけらしい。メイドは若く綺麗な女性であることを願いたい。


 今回の陞爵で残念なことは、陞爵したのに姫との婚約は決まらず、先日出された条件をクリアしないことには婚約は成立しないことだ。


 しかし、今回の侵略戦争で姫の強さと俺が心臓を刺されたのに死ななかった理由がわからない。色々知っているような姫にそのことについて訊くと姫はその内分かると言うばかりだった。


 屋敷は先日できたばかりの屋敷があり即入居可とのことだったので、王城に住んでいるのは気が重かったこともあり即引越した。


 勿論、バラミール領で見つけた剣と謎の卵も一緒に持ってきた。

 外から見るとバラミール領の屋敷に比べれば小さいが中々大きい石造りの建物だ。

 中に入ると広いホールで奥へ続く左右の扉と二階へ上がる階段がある。

 階段は途中から左右に分かれて二階へと続いている。

 ダイニングやリビング、キッチンは一階にあり、寝室や客室は二階にある。

 風呂も一階に用意されている。

 色々屋敷の中を見て回っていると誰か来た。

 多分今日来るメイドだろう。

 玄関に行くと二人の女性が玄関に立っていた。


「「メイドとして雇われてきました。今日からよろしくお願いします。」」


 二人とも好意的な笑顔で挨拶をする。

 陞爵の件が好印象で玉の輿の可能性があるとでも思っているのだろう。

 しかし、一年の内に領土を取り戻さないと没落貴族になっちゃうんだよな。知ってる?


「じゃあ、一人ずつ自己紹介をして。」


「はい。ぼくはハリカ・デュランです。一八歳です。デュラン男爵家の四女です。宜しくお願いします。」


 一人目は貴族の娘だった。このまま侯爵家に見初められたら良いと考えてるような媚びた笑顔だ。身長は普通。ふわふわカーリーの赤毛が肩より短いショートヘアーだ。目が少したれてて、緑の大きな瞳が印象的だ。可愛い顔をしている。体型は普通だが、胸が少し大きい。


「わたくしはエイレム・デミレルです。デミレル子爵家の三女ですわ。一八歳です。ハリカとは学園で同級生でした。できればこのまま妻にして頂いても構いませんわ。いえ、必ずして下さい。宜しくお願いします。」


 押しが強い女性だ。ブルーネットの長い髪を後ろで纏めているようだ。身長が高い。大きく切れ長の青い目が印象的だ。スタイルが良い。何より巨乳だ。その点において当たりだな。

 しかし、エイレムは妻にしてと言っている。あの巨乳で迫られたら断る自信がない。そんな事をすればレイラ姫にあのレプタリアン共のようにバラバラに切り刻まれるかもしれない。恐ろしい。

 でも、この国は一夫多妻制だし、王も妻が沢山いるらしいから姫も多妻の点に於いては寛容だろう。

 断れなかった時はその時だ。


 俺は、二人に掃除をお願いしリビングのソファーで寛ぐ。

 しかし、この屋敷を維持する金は王家から出るとはいえ、それだけでは足りないだろう。

 金を稼ぐ必要がある。

 それに、領地を奪還する必要もある。

 両方を一挙に解決する手段がこの国にはある。

 クランを作り、バケモノを狩り食料として売る、そして、そのクランで領地を取り戻す。

 そうすれば両方の目的を達成することができる。

 まずクランを作る。

 しかし、どこに行けば仲間を作れるのだろう。

 酒場?


 考えていると誰かが玄関のドアノッカーを叩く。

 メイドの一人が出ていく。


「ご主人さま、レイラ姫がお越しです。」

「通して。」


 姫が不躾にドアを開きリビングの中へ入ってくる。


「はーい、アスラン。小さいけど良い屋敷もらったわね。」

「小さいは余計だ。」

「メイドも二人付いてるし。ハリカとエイレムは今日来たの?」

「ん?知り合い?」

「昔から知ってるわよ。二人共貴族だし。」

「そうか。類は友を呼ぶって言うしね。」

「類?あー、おっぱい?良かったわね、おっぱいに囲まれて。」

「いや、人様のおっぱいがいっぱいでも仕方ないだろ。」

「だったら第二夫人と第三婦人にしてあげれば?」

「え?良いの?」


 俺は非常にだらしない嬉しそうな顔をしていたらしい。


「ちょっとぉ、顔!だらしない。」

「ごめんなさい。」

「でも、二人の自主性に任せなさい。あなたは暫定的とはいえ侯爵になったんだから子爵家や男爵家は断りづらいでしょ。」

「俺、女性にだらしなくないぞ。」

「あら、私の父、陛下はだらしないということ?」

「いえ、そんな事は言ってません。」

「良く聞いて。男性は死にやすい世界なの。バケモノが横行して男性は戦わなくちゃいけないの。死ぬ可能性が高い世界では一夫多妻にして子孫を残すことは人類の責務なの。そこは理解しておいて。全ての男性は子孫を残す義務があるのよ。良い?あなたは死なない。だから沢山子供を作って養うべきなの。」

「なにその身勝手な占い。」

「事実、死ななかったでしょ。自信を持ちなさい。ところで、ハリカの胸は物を詰めているわよ。」

「え〰!本当に?」

「何残念そうにしているの!」


 その後、暫く何も話さず沈黙が続いた。


「俺さぁ、クランを作ろうと思うんだ。」

「どうして?」

「クランでバケモノを狩りの肉と素材を買い取ってもらい生活費を得る。そして、そのクランで領地を奪還しようと思うんだ。どこへ行けばクランを作れるか知ってる?」

「僭越ですがご主人さま、ここ王都にはラグザという様々な職業の組合があるのですが、そのうちの『傭兵ラグザ』ですわ。ここに加入していると傭兵に依頼を斡旋してもらえます。ですのでここに行けば、仲間を見つけてクランを作れると思いますわよ。」


『神の飲み物』と言われているコーヒーをブルーネット巨乳メイドのエイレムがカップに注ぎながら答える。なぜ神の飲み物なのかその理由を未だに聞けていない。


「ラグザか。じゃぁ、これから行ってくるよ。掃除はハリカに任せてエイレムは俺に付いてきて下さい。」

「承知いたしましたわ。」

「私が付いていくわよ。」

「王女様が簡単に出歩くなよ。特に先日の混乱の影響も消えてないぞ。悪者に襲われるぞ。」

「あのね、見たでしょ。悪者には負けないわよ。」

「で、では三人で行ったら宜しいかと思いますわ。」

「え〰、二人でいいじゃないのよ。」

「駄目、エイレムには買い物があるから。それに姫はラグザの場所知らないだろ?」

「う”〰〰」

「それでは三人で参りましょう。」

「待って、待って下さい。」


 赤毛カーリーショート偽乳メイドのハリカが息を切らしながらリビングに駆け込んで来る。


「三人で行くのに私だけ留守番なんてずるいです。チャンスは平等にお願いします。」

「何のチャンス?」

「いえ、買い物とかのモゴモゴ・・・」

「では四人で『傭兵ラグザ』へ出向いて帰りに買い物して帰ろうか。」

「「はーい。」」

「え”〰〰」


 概ね賛成だがレイラ姫一人不満のようだ。


 結局俺たちは四人で傭兵ラグザへと赴くことになった。

 姫は馬車で行きたがるが俺は街をあまり見たことがないので徒歩を主張する。

 姫は仕方なく折れ、姫の護衛も少しはなれて付いてくることになった。

 四人は意気揚々と屋敷を出発し下街にある傭兵ラグザへと向かった。




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