第529話 アオイ参上!  

 

 「後は任せて、休んでろ……ヒロ」


 「……まさか、本当に__」


 そこまで言ってヒロユキは強制的に意識をシャットアウトされ、身体全体を糸が包み込む。


 「さて、と、これでよし」


 「貴様は……【アオイ』」


 「あれ?名前知ってるの?」


 「ほざけ、前の舐めた口調はどうした?」


 「あー……なるほど、俗に言うもう1人の僕って奴か」


 魔神は魔法陣を展開する。


 「やはり、人格が2つあったか」


 「お?」


 「あのふざけた挨拶の後、世界を統べる我が何もしないと思ったか?少し見ていたが挨拶の時ほどの威圧感は皆無だった、むしろ貴様は他の2人に比べて弱い、野放しにしていても死ぬと思っていたが」


 「あ、うん……否定できないや、だけど運良くここまで来れた、いろいろ説明しなくていいのは話が早くて助かるよ」


 アオイは魔神に対して両手をあげた。


 「……何の真似だ?」


 「そのぉ、すっごい接戦をした後で非常に言いにくい事なんだけど……戦いなんて痛いことやめて話し合いしません?」


 「は?」


 「確かに、魔族に痛ぶられて死んでいった人達の事を考えるとこんな事言うのはダメだと思う、だけどそれ以上に僕達はこの世界から魔族を殺してしまったんだ、だからおあいこって事で」


 アオイが指をクロスさせてバッテンを作り苦笑いしながら説明するが、それも極まり魔神の間に触る。


 「貴様……冗談で言ってるのか?」


 「いや、本気だけど」


 「なるほど、良くわかった」


 「分かってくれた!じゃぁ今後の事について__」


 「貴様が勇者の器では無いと言うことがな!」


 魔神は魔法陣を起動させてアオイに攻撃する、が


 「こうなると思ったよ!くそぅ!」


 「何!?」


 魔神の攻撃は当たらず、アオイにぶん殴られ宙を舞った。


 「(この我がまったく“見えなかった”だと!?)」


 そのまま受け身を取ろうとするが先に周りこまれたアオイから逆方向に飛ばされる。


 「ガ、ハッ」


 魔神の身体はクルクルと回りながら支柱を貫通していき


 「うおりゃ!」


 途中で出てきたアオイの回転蹴りで床に叩きつけられた。


 「っ!げほっ」


 魔神は鎧の中で吐血しながら【分析】を使いアオイを見るが自分の目を疑う結果になる。


 「貴様は……何者なんだ……」


 【LV2】____魔眼はアオイの事をそう示していたのだ。







 「俺は俺だ、他の誰でもない、ただの人間だよ」







 



 


 

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