第507話 各々の戦い

 《数時間後》


 山亀も上陸し進軍している中、ジュンパク団の地上部隊も各々展開していた。


 「そっちに行ったぞ!すひまる!」


 魔物を黒刀で斬りつけながら、白髪のボサボサな髪の青年カブはパーティーメンバーに危険を知らせる。


 「は、はい!【サンダーボルト】!」


 少しぽっちゃりとした魔法使い、《すひまる》の杖から放たれた雷は相手を痺れさせ


 「てりゃぁぁぁあ!!」


 そこをカブの黒刀で一突きして倒す。


 「情報にあった通りだな、こいつらはメルクスコリプスの毒に弱い、これならゴールドの俺たちでもいける!」


 「は、はい!」


 しかし、油断したのか土の中から出てきた魔物がカブに噛みつこうとしてきた!


 「くそ!」


 剣で受け止めるがマウントを取られる。

 

 「すひまる!やれ!」


 「だ、だめです!カブさんにも当たってしまいます!」


 「くそ!」


 防戦一方のカブだがその時!


 「てりゃぁぁぁあ!!」


 カブのマウントをとっていた魔物は横から来た棍棒でホームランの様に飛ばされていった。


 「あー!?マキ!よくやった!」


 「あー!?じゃないわよ!油断しすぎよ!死にたいの!?」


 「あーうるせぇ!これから殺ろうとしてたんだよ!」


 「助けられたんだからありがとうくらいいいなさいよ!」


 「あ、あの……」


 「「なに!」」


 「ま、まえ」


 呑気に喧嘩している2人の前には敵の増援が森から出てきていた。


 「ちっ!マキ!毒はまだ大丈夫か!」

 

 「任せなさい、たっぷり塗ってきたわ!」


 「…………あんがとよ、さっきは」


 「ふん、アンタこそ、英雄ヒロユキみたいになりたいんでしょ!それまで死ぬんじゃないわよ!」


 「当たり前だ!テメーこそ、美少年ジュンパクさんのファンなら会うまで死ぬんじゃねーぞ!」


 そう言って3人は敵に突っ込んでいった。


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 《山亀 背中》


 「放て!」


 「「「「「おう」」」」」


 バンガの掛け声とともに、魔法で強化された矢が飛んでいる魔物達を貫いていく。


 「にしてもいいんですかい?《熊さん組》なのにジュンパク団なんかの下について」


 「あ?」


 「ぐ、が」


 1人の獣人が聞いてきて、イラッとしたバンガは片手で仲間の首を掴む。


 「てめー、この後に及んでまだそんなこと言ってんのか?周りを見てみろ!みんな世界のために戦ってんだよ」


 「へ、へい!」


 バンガは首を離す。


 「もっとわかりやすく言ってやる、あいつら魔族からしたら俺たちを餌くらいにしか思ってねーんだ、そんな舐められていいのか?あ!?」


 「!、たしかに!」


 「解ったなら俺たち獣人の力を思い知らせてやれ!」


 「「「「おおおおおお!」」」」


 「…………」


 自分も加わり矢を構えるバンガ。


 「(レナノス、お前の言った通り俺は世界を知らなかったみたいだ、いつかまた飯でも食いながら聞かせてくれ)」


 「だから、ここで死ぬわけにはいかんのだ!【爆矢】!」


 バンガから放たれた矢は途中で加速して空を飛んでいる敵を一直線に貫いていった。



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 《山亀 ヒロユキ達》


 「すごいねアニキ!どんどん敵が減っていくよ!」


 「……これがみんなの力だ」


 「へへ、数が多くてもこっちは質が違うってやつだね、向こうから来る魔法攻撃はユキナのバリアに弾かれて登って来る敵と空からこちらに来ようとする敵は別部隊が飛び道具で落とす、完璧!」


 「……そうだな」


 ジュンパクがウキウキに話している横で浮かない顔をしてるヒロユキ。


 「アニキ?」


 「……悪い予感がする」


 「まじ?アニキの悪い予感って当たるから嫌なんだけど」


 その予感はヒロユキの【ある感覚】が当たりである事を知らせた。


 「……!」


 「アニキ?」


 ヒロユキは頭に浮かんだ魔法名を言う。




 「……【武器召喚】」



 刹那__ヒロユキの横に次元の裂け目ができてそこから日本刀を取り出した。



 「え!?どうして今!?」


 これまでに武器召喚はピンチの時やそれ相応の相手が居る時にしか出なかった……つまり今出ると言うことは


 「……強敵が、居る」


 「強敵って、どこに……」


 「……ジュンパク、後は任せた」


 「え?あ!アニキ!」








 そう言ってヒロユキは山亀から飛び出した。


 






 

 

 

 

 

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