第508話 タナトス
《リュウトパーティー》
そのまま目的地である王国会議場所……魔神城までリュウト達は敵を倒しながら進んでいると__
「!」
ただならぬ気配を感じてみな足を止めた。
「リュウトっ」
「あぁ、やっぱり一筋縄では行かないみたいだ」
ウッドリーワンドが誰かに指示されたかの様に広がり枝を伸ばしてバトルステージを作り出し、そこに居たのは
「フシュルルルルルルルルル」
そこには、後頭部が長く、噛み砕きすり潰すことに特化した人間の歯と、鋭い爪、そして突き刺すのに特化した様な細長く先が尖っている尻尾を生やした3メートルの魔物が魔法で拘束されていた。
「エイリアン……?」
「なんですか?リュウトさんそのエイリアンって」
「いや、前の世界で有名な……なんだろ、それこそモンスターだったんだけど」
「なら大丈夫じゃないですか?知ってる敵って事ですね?」
「そうだけど、そうじゃない」
「?」
「上手く言えないけど、ざっくり言うとこっちのクリスタルドラゴンみたいな感じ、本当に居るとは思えない様な存在かな」
「なるほど……異世界のクリスタルドラゴンですか」
「そう呼ぶとなんか変だがな、みや、どうだ?」
「うん、種族名は《タナトス》毒の弱点はないけど、再生能力もなしで弱点は高熱みたい」
「どうしてアイツは繋がれてるのでしょうか」
アカネの疑問に答えたのはアンナ。
「周囲のウッドリーワンドの反応といい、他に敵が居ない事と示し合わせると答えは1つよ……他の魔物と違ってコントロールできない」
そこまで言うとタナトスを拘束していた魔法が解かれた。
「っ!はや__」
自由になったタナトスは驚くべきスピードでリュウトに体当たりをして、反応できなかったリュウトは後方に弾き飛ばされウッドリーワンドに背中を強打する。
「ガハッ」
「「「リュウト!」」」
「フシャーー!」
「っ!」
助けに行こうとした隙を見逃さず、次は1番戦闘力の無いアンナを襲い両腕を押さえた。
「アンナさん!くっ!はぁぁぁあ!」
リュウトを助ける判断から押さえられている危険な状況のアンナを優先させて助けようとしたアカネだが
「シャーー!」
「っ!」
尖った尻尾がアカネの肩を貫いた!
「くっ!」
アカネは尻尾を掴む、そして
「みやさん!」
「【ウォータースラッシュ】っ!」
上空から尻尾を切るために放たれた水はタナトスの尻尾に命中するが切れなかった。
「っ!」
「フシュルルルルルルルルル」
そのまま何事も無かったかの様にアカネを突き刺したまま持ち上げ上空のみやに向かって投げられる。
「うあっ!」
無理やり傷口を広げられ肩から血を流しながら飛んでくるアカネを勢いを殺さずに受けたみやは一緒に壁にぶつかって落ちる。
「すいません、みやさん」
「いいよっ、それより肩」
「はい、少し回復します」
アンナが回復魔法が使えないので自分の魔皮紙を肩に当てる。
「フシュルルルルルルルルル」
「ちょっと!髪が土で汚れてる上にそんなグロい顔を近づけないでよ!」
「フシャーー!」
「うわ、あんた涎ねっとりしてうわ、もーうキモい」
「あーたんきーっく!」
「シャ!?」
アンナを殺そうとしていたタナトスは“急にドームの外から現れた”アールラビッツモードのあーたんに不意をつかれて吹き飛ぶ。
「ナイスよあーたん、だけどもう少し早くきて欲しかったわね」
ウッドリーワンドの性質上、中からは出さないが外からは入れるのを利用した不意打ち。
周りがウッドリーワンドと言う事を見越してアンナが少し後ろからくる様にと指示していたのだ。
「ごめんー」
「さて、とアカネ」
アンナはその場からアカネを回復させる。
「ありがとうございます、アンナさん」
「いえいえ、リュウト、なーに寝てんのよ」
そう言いながらリュウトも回復させるとリュウトは肩をコキコキ慣らしながら歩いて来る。
「肩こりが取れたぜ、久しぶりに魔物で骨のあるやつに出会ったから油断した、みや」
「うんっ、追加で『魔法攻撃無効』ってのがあるよっ、こいつも色々試して『分析』が出て来る感じみたい」
「みやの分析がその状況ってことは魔王級、いや、中ボス級ってとこか」
「むぅ、悪かったねーだっ」
「フシュラルルルルル!」
「相手もやる気満々だな」
「もう、ほんと涎でベトベトだし、髪は土まみれだし」
「アカネを傷つけたっ!許さないっ!」
「私も肩に風穴を開けられて黙ってませんよ!」
「あーたんもだまってないよー」
「やってやるです!」
「「「「ん?」」」」
みんなに混じって小さい子の声が聞こえる。
「ユキ!?」
「どうしたんです?みんな驚いて」
「どうしたんですって……お前山亀の魔力補給係じゃ」
「あんな洞窟で黒い花を咲かせるだけの作業は嫌です、てことであーたんに連れてきてもらいましたです!」
「あーたんつれてきたー」
「それで私を助けるのに少し遅れたのね」
「フシャーー!」
それぞれがユキの登場に言いたいことがある様だが敵は待ってくれない。
「来てしまったものは仕方ない!行くぞ!」
「はいです!」
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