第479話 拠点に来たウジーザス達

 《六英雄 初期拠点》


 何もない暗闇に影が蠢き、4人が現れる。


 「先代に負けず劣らずの影移動ですね、レナノス」


 「私はまだまだです、師匠に比べれば私なんか」


 「そう自分を卑下にしないでください、あなたを認めた師匠のハネトンが悲しみますよ」


 「……すいません」


 拠点は何かの施設の様だ、真っ暗な中は埃の被った様々な魔道具が置いていてちゃんと休憩できるスペースも設けられているが、机も椅子も魔道具と同じく埃を被っている。


 「ここに来るのも何年ぶりですかね」


 「少なくとも俺は来たことないから何百年単位じゃないですかね」


 「あら、そうですか」


 それぞれ3人が話している中、口を閉じている少女が1人。


 「……」


 「それで、どうしてウジーザス様はこの少女をここへ?」


 「レナノス、私の力は知ってますね?」


 「はい」


 「なら話は早いでしょう、彼女は特別に重要な人物なんです、それ以上の説明は必要ですか?」


 「……いえ」


 「アナタの役目は1週間後の18時、ここで起こる出来事にあります、それまで充分に休息をとってください」


 「そこまで待たずたも今からでも彼等を暗殺しに__」


 「アナタにたまこさんを殺せますか?」


 「……」


 「アナタの答えがその時間に現れます、人生を決める選択肢が……それまでゆっくり休むように、それと」


 ウジーザスが一枚の魔皮紙を取り出して魔力を注ぐと薄いドームがウジーザスを中心に広がっていき、ドームの中にはいった埃や虫は焼けて蒸発していった。


 「【ファイアードーム】と言いましてね、最近人間が開発した面白いお掃除魔皮紙ですよ、隅々まで綺麗に出来るのでオススメです」


 「私も住む家が出来たなら覚えておきます」


 「えぇ、アナタの部屋はあそこです、ゆっくり時を待ちなさい」


 レナノスはウジーザスが指さした部屋を確認すると影移動で消えていった。


 「それで、俺はどうすればいいんですかね?」


 「マーク……アナタの相手はトミーです」


 それを聞いた瞬間、マークは目を一瞬見開いて白いシルクハットを深く被りながら言う。


 「…………それはまた……」


 マークの頬には少し汗が流れる。


 「辛いでしょうが、仕方ありません」


 「アナタがアイツと戦うことは出来ないのですか?アナタなら簡単に殺せるでしょう」


 「はい、私なら彼の“核”がいつどこにどのタイミングで来るか分かります……ですが、私がトミーの相手をしている間に、彼女に滅ぼされる未来もあるのです」


 「彼女?あの新人の?確か……アオイとか言う勇者ですか」


 「ウジーザス様の未来視を疑うわけではありませんが、今から攻撃をしかければ俺はアオイの持っている物を全て盗りますよ?もちろん、装備も含めて__」


 「それがトリガーなんです、裸で何もできない彼女を死に追い込むことは可能ですが、そこから先は真っ暗……まるでこの部屋のように電源が落ちた様に何も視えなくなりました」


 そう言って、ウジーザスは拠点の明かりをつける。


 「そこで私達の未来が終わりなんです」


 「…………………」


 「彼女の中には別の『何か』が居ます、それを刺激しない様に立ち回らなければ私たちは……全滅するでしょう」


 そこまで聞いてマークはため息をつく。


 「はぁ……この世に魔神や魔王、トミーさんよりもヤバい存在が居るとは思いませんでしたよ、それで俺はどこに居れば?」

 

 「アナタの大事な物の所です」


 「それって俺の宝物庫ですか?」


 「いいえ、アナタの一族から代々受け継がれている【封印の目】が隠されている所です」


 「っ!!!」


 「私も今、アナタの未来を見るまで知りませんでしたが、とんでもない物を持ってますね」


 「なるほど、親父がアンタを避けてた理由がよく分かったよ」


 マークはそれだけ言うとマントで全身を包んで転移していった。


 「さて…………これで私たち2人だけです」


 「……」


 「誰も聞いていません、レナノスもたまこさんの事に付いて真剣に部屋で考えている所でしょう、この部屋の会話を聞いてる未来は……いや、これは愚問ですね」


 「…………」


 ユキは黙ってウジーザスの目を見る。


 「だって、ユキさん……アナタにもわかるんですよね」


 「……」













 「私と同じ紋章を持ってるんですから」












 ウジーザスが紋章を光らせるとそれと共鳴する様にユキの手の甲から同じ模様の紋章が光出した____

 









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