第476話 話が進まない!

 《01:00》

 

 深夜を回り、ヒロユキ達は大雑把であるが六英雄の事をたまこから聞いていた。


 「くか〜……」


 アオイ1人は全くと言っていいほど聞いていなかった……


 「そう言うわけで〜、六英雄って名前の組織な訳よ〜」


 「……なるほど」


 「でも、たまこのアネキ、それって人間の事を考えてないよね?」


 ヒロユキはお酒を飲まずに転送させてきたミルクを飲み、ジュンパクは勝手にアオイの家にあった酒瓶を持ってラッパ飲みしながら聞いていた……ジュンパクは少し酔ってるのか頬が赤い。



 「そうよ〜、私も獣人だし、最初はそう思ったけど〜……数が違いすぎだと思うのよ〜、例えだけど人間が数万人に対して魔族が全体で数十億、天秤にかけたら__」


 「天秤?」

 

 ジュンパクが抑えきれない怒りから少し不機嫌そうになったのを察して師範が助言をする。


 「ジュンパク、彼女の苦しみを理解しろとは言わん……だが、質問を投げたのはお前だ、彼女は包み隠さず応えた、それに腹を立てるのは違うぞ」


 「………………ミーには理解できない話だね、アニキが決定したことに従うよ、話が終わったら声かけて」


 ジュンパクは椅子から立ち上がってアオイの家の中へ歩いていった。


 「……すまない、たまこ」


 「いいのよ〜、あれが普通の反応よ〜?むしろヒロユキくんはどう思うの〜?」


 「………………解らない、俺も元はこの世界の人間じゃないから」


 「ふ〜ん?」


 「……だけど」


 「?」


 「……俺がたまこの立場なら何を言われようとも俺は俺の道を行く」


 「ふふ、勇者ね〜」


 「ホッホッホ、どこかの馬鹿弟子も同じような事を言ってたな、もしかして兄妹かの?」


 「……兄さんが居るけど此方には来ていない」


 「冗談じゃ……して、お主に説明も終わった事だ本題に入ろうか」


 「くか〜……むにゃむにゃ、もう食べれないよぉ……にゃぁ」


 「…………とりあえずアオイを起こさないと」


 「そうじゃのぅ」


 「この子、私が話してた時ずっと寝てたけど〜、本当に大丈夫なの〜?」


 ここで今まで少し離れたところで黙って話を聞いていたトミーが口を開く。


 「あぁ?おい、うちの大将に文句あんのか?あのババアの弟子かしらねーけど、テメーの方こそお仲間が1人離脱してんじゃねーか、どの口が言ってんだクソガキ」


 ピクッと狐耳が動いてたまこはトミーの方にひきつった笑顔を見せながら反論する……アニメならばムカつきマークがついているだろう。


 「師匠からよ〜くアナタの事は聞いてるわ〜、ロリコンさん〜?」


 「あぁ?」


 「その子は今どこに行ったのかしら〜?」


 それを聞いた瞬間トミーは問答無用でそこら辺に落ちていた葉っぱをクナイに変化させてたまこに向かって殺す気で投げた!


 「っ!」


 「ばかもんが」


 その状況をすぐに察した師範がたまこの前に来てクナイを二本指で止めた。

 

 「落ち着け2人とも、六英雄を降りた身の儂が言うのもなんじゃが今は昔のように力を合わせぬと行けない時じゃろう?」


 「…………ごめんなさい」


 「ふん……」


 たまこは謝りトミーは不服そうにしてるが壁に寄りかかって目を閉じた。


 「おい、クソガキ」


 「ん〜?」


 「アイツの事は今後一切俺の前で話すな、少なくとも共闘してやってる間はな」


 「…………」


 「たまこ」


 「分かったわよ〜……はぁ……」


 師範のおかげでこの場は抑えられたが、その師範の称号を受け継いだ当の本人はと言うと……


 「むにゃむにゃ……にゃぁ」


 呑気に寝ていた。

 そして……


 「………………」


 間違えてすぐ近くにあったアオイのコップの中身を飲んでしまったヒロユキも意識をシャットダウンされてしまっていた……





 「とりあえず、話は明日にしましょうか〜……」


 「そうするかの」






 

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