第434話 命令
「どうしてアイさんが!」
アイさんが槍を構えてこちらに向かってくる!
「我が君、下がっててくださいですぞ!」
「う、うん」
「それと今すぐエス殿達に連絡を……!」
俺を向いたムラサメさんに一瞬で間合いを詰めてきたアイさんは槍を振りかざした。
「危な」
危ない!と言い切る前にムラサメさんは反応して槍をムラサメさんの武器である鉤爪で受ける。
「その鉤爪!まさか!」
「アバレー騎士の隊長ごときが私に槍を向けるとは良い度胸ですぞ」
攻撃を弾かれアイさんが空中を回転して着地する、ふぅ……ムラサメさんが殺されなくてよかった……って!そんな見てる暇じゃない!
魔皮紙魔皮紙!
「{もしもしみんな!聞こえる?}」
{あぁ、聞こえるぞ}
すぐに出たのはエスだった。
「{緊急事態だよ!今アイさんが僕達を襲ってきて……}」
{分かってる、此方も交戦中だ}
「{交戦中?誰と?}」
{“村の獣人達”だ}
「{そんな!一体何で僕たちを}」
{魔王はどうなってる?}
「{魔王はその……死んだよ}」
{きっとそれなのじゃ!}
「{ルカ!}」
エスとの通信に割って入る様にルカの声が聞こえてきた。
{何か解ったか?}
{うむ、タイミング的にもつじつまが合うのじゃ、アオイ聞くのじゃ}
「{う、うん}」
{ワシは任務を遂行するためにサキュバスの子供を1人誘拐してきたのじゃが、突然苦しみ出した後に死んだのじゃ}
「{それって}」
{うむ、魔王が死んだのと関係があると思うのじゃ}
待てよ、確かロビンの繁栄方法は人間と同じ、そしてロビンが消えた事で身体を構成していたロビンの要素が消えたとしたら……
「{ま、まさか……}」
どれだけの被害かは分からない、考えたくもない。
だが罪もないあの子供達が……
{しっかりしろ、アオイ}
「{う、うん、ごめん}」
{魔王を倒すのは勇者の役目、お前はその役目を果たしただけだ}
「……」
{だから後は俺たちに任せろ}
「{任せろって獣人達を殺すってこと?}」
いくら敵とは言え同じ人間、そもそもここでお互いに戦ってる事自体がおかしいのだ。
{……お前次第だ}
「{僕?}」
{さっきの“任せろ”と言う言葉、取り消す、俺たちに命令を出せ、どんな命令でも遂行してみせる}
「{信じて良いんだね?}」
{あぁ}
俺は今後のことを考えて今一番して欲しいことを口に出した。
「{各自、相手を殺さずに戦闘不能にして捕らえて……えと、ください?}」
流石に「捕らえろ!」とか偉そうに言えないからちょっと変になったが通信から帰って来た言葉は頼もしかった。
{了解}
{余裕なのじゃ}
「了解ですぞ我が君!」
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