第429話 魔王と勇者の運命
「え!?」
アオイは今日1番に驚く。
目の前の魔王は仲間に入れて欲しいと言ってきたのだ。
「きっと罠ですぞ!」
流石に信じられないムラサメがアオイの前に立ち魔法陣を構えて魔王に向けて睨みつける。
「罠じゃないわよ、その証拠にあなた達には何も危害をくわえてないじゃない」
「変なものを飲ませようとしていたですぞ!」
「それはあなた達を見るためよ、良い?私たちからしたら種族を絶滅させていってる超超超超危険な存在なの、それこそ話も何もせずに会った瞬間に殺されたら終わりなのよ、副作用くらいは許してちょうだい、こっちも命を張った賭けなの」
魔王ロビンは手を差し伸べたままアオイをまた見る。
キング偽物が見ているが頭の上のスライムからもアオイは視線と熱意を感じていた。
「……」
そもそも魔王ロビンが言っている事は事実だ。
世界中で戦争が起こっていても死ななかった魔王がここ数年……たったそれだけの期間で倒されていってる。
逆の立場で考えるといつ死ぬか分からないと言う恐怖する事になる。
「決めて、勇者アオイ」
「…………」
ムラサメもアオイの返答を待つ。
静かに、何もない空間に時間だけが過ぎていく。
…………………………………
そしてアオイは答えを出した。
「分かった、これからよろしく、ロビン」
肯定。
「やっっったーー!」
キング偽物は頭のスライムを持ってクルクル回り喜びを表現する。
「……」
「ごめんね、ムラサメさん」
ムラサメは構えていた魔法陣を解いてアオイの後ろに下がった。
「良いですぞ、我が君の決めたことには何か意味がある、どんな事であれ私はあなたの意見を聞きますですぞ」
「それって僕が死ねって言ったら死ぬの?」
「喜んで死にますですぞ」
「じょ、冗談だからね?」
「あら、私もじゃぁ下僕になろうかしら?」
「そうだとしても流石にその姿はやめてほしいかな?その声で女の子口調はちょっとやりづらいと言うか……いや、どの口が言うねんって奴だけど」
「でも、私声帯がないのよね、性別もないからどちらとも取れる様にしてたんだけど……あ、そうそう!アオイちゃん好きな人がいるって言ったわよね?」
「え?言ってた様な……どうだっけ?その後の話が壮大すぎて忘れちゃった」
「言ってたわよ、何ならこの場で私の能力見せてあげる」
ピンクのスライムはアオイの前にポヨンとおりて上に伸びようとするが。
「あれ?」
何も起こらなかった……その理由を何となくだがアオイは察していた。
「ごめん、実はあれ嘘なんだ、その……色んな理由があって異性にまだ好きな人がいない?だ僕」
「あら、そうなのそれは残ね「よっしゃぁぁぁあああああああああああああですぞおおおおおおおお!」……あなたの後ろのムラサメって人間、そんなに叫ぶ人だったの?」
「ど、どうしたの!?ムラサメさん!?」
「我、感極まれり、僅かな希望を手繰り寄せたり」
「大丈夫!?なんか口調がいつもよりもっと変になってるけど!?」
「フフフッ、これから一緒に入れると思うと楽しいわね……身体はどこかで手に入れるわ、しばらくこの身体と声で我慢してね、それでこれからの事だけどこの村の獣人達は……」
空気が和らぎ話が進んでいく。
魔王と勇者はこれからの計画を話しだす。
アオイの意思に従って村の獣人達をどうにかするみたいだ。
このままいけば平和に解決するだろう。
【そんな事は許されない】
「え……今……」
「どうしたの?」
「いや、何か聞こえたような」
【アオイは武器のクナイを取り出し】
「アオイ……ちゃん?」
「身体が勝手に!」
【魔王に攻撃を仕掛けた】
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