第428話 【六英雄】


 「封印されていた?」


 「そう」


 魔王ロビンはキング偽物の頭の上で縦に少し伸びてポヨンとなる。


 「一体誰に?」


 “魔王ほどの存在が封印されていた”この事実があるという事にアオイは疑問を抱いた。


 「【六英雄】達よ」


 「六英雄……」


 「人間界でも聞いたことはあるんじゃない?」


 「少し、だけ名前を聞いたことあるような無いようなくらいだけど」


 「そうでしょうね、基本的に人間は管理されていただけだからアイツらの事は本当にその程度、むしろどうして人間がその存在を知っているのかすら不思議なくらいよ、人間でも知っている存在なんだからこっちの世界ではみんな認知してる程、有名よ」


 「どういう人達なの?」


 「“人”と言うと違うわね六英雄はみんな魔族よ、それぞれが特別な力を持った魔族のチーム、それが六英雄」


 「特別な力?」


 「えぇ、残念ながらどういう力を使ったか私も覚えてないの、だから一つだけ言えるのは【記憶操作】能力を使う奴がいるのは確かよ、それも魔王の私に効くくらい高い魔力のね」


 「……」


 「六英雄について知りたいでしょ」


 「まぁ、うん」


 勇者以外に魔王と敵対する存在、アオイの中では共通の敵がいる味方かと思った、だが。


 「残念ながら私を封印したからってあなたの味方って訳じゃない事を先に言っとくわね」


 「え」


 「私に心を読む能力はないけど、仮にも魔王よ、それくらい思ったことは解るわ」


 「……」


 「【六英雄】、彼らは世界から戦争を無くすために組まれた集団」


 「戦争を無くす?」


 「そうよ、最初に言った通り、この世界で魔王達は戦争をしていた、そこに現れて場をめちゃくちゃにして消えるのよ」


 「めちゃくちゃに?」


 「一つは私、魔王の封印、後は戦争している両方の食料がゴッソリ全部無くなっていたとか、両方の兵士を一人以外全員殺したとかね」


 「そりゃ、たしかにめちゃくちゃだね……(いやいやいや!めちゃくちゃってレベルじゃないだろ!)」


 アオイはポーカーフェイスで余裕の返答をしていたが、内心はかなり驚いていた。

 それほどやっている事が壮大なのだ、魔族同士の戦争となると人間の比じゃないほどの兵士たちだろう、その兵士の食料と言ったら下手をするとこの世界の全員が食べきれないほど準備されているはずだ、ましてや、その兵士を皆殺しにするなど規模が違いすぎる。

 

 「そ、六英雄のおかげと言うと癪に触るけど彼らは名をあげ世界の脅威となった……そして彼等は魔神様のところまで辿り着いたのよ」


 「辿り着いて、どうなったの?」


 「…………何を話したか私にもわからない、その時には封印されていたから……でも魔王達は戦争を止めて人間の管理は3人の魔王がする事になったわ」


 「その3人って」


 「えぇ、アオイちゃんも聞いてるんじゃない?【スコーピオ】、【キャンサー】、【ジェミニ】よ」


 「うん、そのうちの一人はよく知ってる」


 その3人はいずれもアオイ達、勇者3人が最初に倒した魔王だ。


 「そして今、人間は私達の管理を外れたわ、誰がそうしたか?ねー、アオイちゃん」


 「……」


 「あなた達は“人間”という種族で世界に戦争を仕掛けたのよ、理由はどうあれ世界を征服していた魔王を次々と倒している、あなた達に六英雄が目をつけるのはそう遠くない話よ」


 つまり魔王が言いたいのは、【六英雄】は世界に平和をもたらすチーム。

 人間が狙われなかったのはそれまで世界を揺るがす程の事をしてこなかったからだ、その均衡が崩れた今、狙われるのは当然本人たちだろう。

 そうなると悪役はアオイ達だ。


 「だから僕達が君を倒したらリスクがありすぎるから倒すなって話?」


 「ふふっ、半分正解で半分はずれ」


 ロビンはポヨポヨとキング偽物の頭の上ではねる。


 「ここまで話してやっと私の言いたい事が言えるわ」



 ロビンキング偽物を操って手をアオイに差し伸べた。










 「私をあなた達の仲間にいれてほしいの」



















 

 

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