第430話 『私じゃない』
「どう言う事!」
「違う!身体が勝手に!」
アオイのクナイはキング偽物の胸に刺さりそこから血を出す。
「っ!?」
慌ててキング偽物は逃げようとするがクナイの持ち手に巻かれていた【系】が勝手に動き出しキングのを拘束した。
「な、なんで【目撃縛】が勇者の力は使えないはずじゃ」
そのまま動けないキングにアオイは近づき。
「にげて!ロビン!」
二本目のクナイでキングを頭から刺した。
頭に居たロビンの本体のスライムは『間一髪ですり抜ける』
…………
スライムは液状を保てなくなり本体だけになる。
「ーーーーー!?」
『ムラサメ!今すぐコイツを持って外に出て!』
「!?、どうしたのですぞ!」
『これは……くっ!アオイちゃんが作ったこの黒ユニタード!これの素材は【神】の糸よ!『私」の身体はこの服に操られてる!』
「わ、わかったのですぞ我が君」
『さぁ……神、対決しま……しょう……キャハッ』
ムラサメがロビンの本体を持ち扉に駆け寄るがどこまで走っても暗闇だった。
「【光源】が!?まだ魔力を解いてないのにですぞ!?」
『しかし、暗闇でも獣人化している『私」にはハッキリとムラサメが見えている』
いくら暗闇に慣れているムラサメとはいえ、明らかに何かおかしい状況で冷静さを失う。
「どうなってるですぞ……一体何が起こってるですぞ!?」
そのまま真っ直ぐに走り続けていたが不意に後ろを見るとそこにはムラサメにとっての恐怖があった。
「あぁ…………あぁあああああああああ!嫌だ!嫌ですぞ……もうループは!もう私は改心したですぞ、来るな……来るなですぞ!」
『しかし、ムラサメは己の任務遂行の為にすくむ足に力を振り絞って死ぬ気で走る』
走る。
手には汗がとめどなく溢れ出している。
明らかな異常事態に緊張や困惑がすごいのだろう。
その手に持っていたロビンの本体を手から滑らせてしまった。
「あ!」
『だが今まで培っていた鍛え抜かれた反射神経で落ちる前に取り戻した』
「ふぅ……ですぞ」
………。
地面から出てきた消せない魔法陣が1300度近くあるマグマを噴き出させる。
『その上から転送魔法陣を被せて吹き出るマグマをどこかの海へ転送する』
次に壁の魔法陣から大量の黒い猛毒の針がものすごいスピードでムラサメに射出される。
『だがその針は途中に通った魔法陣の能力により毒が消え無害のサラサラな砂になる』
「な!?砂が吹き付けて来たですぞ!一体何が起こって」
ムラサメの心臓が止まる。
「っ!が、ぁ……」
『ムラサメの心臓が動き出す』
「かっ、はぁ……はぁ」
ムラサメは呼吸を整えながら何とか手を伸ばすと、そこには扉があった。
『……』
ムラサメはそれをあけると外の光が一気に差し込んだ。
扉の外は入って来た時と同じ神殿の外であった。
「で、出れたですぞ」
『ムラサメは……んぐ!?』
ムラサメに気を取られて一瞬の隙を作ってしまった『アオイ』は自ら着ている黒ユニタードに口を塞がれてしまった。
「と、とにかくエス殿たちに通信をですぞ」
ムラサメは通信魔皮紙を取り出そうとしたがある違和感に気付いた。
「…….……!!!!!!!!」
ムラサメは油汗をかきながらゆっくり見ると。
魔王ロビンを持っていたムラサメの右手が無くなっていた。
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