第421話 役割分担
「サキュバス……」
「私も色々な種族を調べてはいたですぞがサキュバスという種族は外見も出てこないほどですぞ」
{得意な魔法は『魅了』っ。後は【DNA変化】って出てるょっ}
「魅了はともかく【DNA変化】?」
{ぅんっ、私も聞いたことないけどここからだと詳細は難しいかも……せめてサキュバスを一匹、ここに連れてきて見れればわかるんだけどっ}
その言葉に3人は反応する。
“サキュバスを連れてくる”事で明確に情報が手に入るのだ。
得意な魔法が解ればそれについて対処ができると言うのは戦闘をかなり有利に進めることになる。
「仕方ない、ルカがあんな状態だ……本来ならここから援護するつもりだったが、ここは俺が」
「いや、エス殿以外に長距離攻撃が出来る人は居ないですぞ、ここは私が」
2人はどちらがその仕事をするか話し合おうとするがルカが待ったをかけた。
「ワシが行く……のじゃ!」
「今のお前で何が出来る?」
「そうですぞ、来て早々に訳もわからない状態になっている分際で良くそれが言えたですぞ、控えめに言って足引っ張ってるんだから引っ込んでいろですぞ!」
「な!?ワシはNo.2なのじゃぞ!その口の聞き方は」
「そのNo.2が今の状況をわからないわけではないよな?」
「ぐっ……」
2人から見ると明らかに今のルカが使い物になると思えない。
ルカも当然その事は分かっていた。
「おい、みや」
{んゅ?}
「ルカを分析しろ、どうなっている?」
{はぃ、『分析』………完了したょっ}
「……」
{ルカ様の状態は……『感度上昇』?}
「なんだそのふざけた状態は」
{わかんなぃ、けどルカ様の魔力に何かが反応してルカ様の身体を蝕んでるみたぃ……えーっと……胃と腸に何か変な反応があってそれをルカ様は吸収してるみたぃっ}
「!?」
ルカはそれを聞いて思い出す。
「(もしやあの時の!なのじゃ!?)」
「胃と腸?」
「こ、これを!分析するのじゃ」
ルカは魔皮紙から例の飲み物のコップを取り出し、みやに見せた。
{…………『魔王バルゴの破片』………!?}
「!?」
「ですぞ!?」
それは紛れもない『魔王』の手がかりだった。
ルカは驚いた3人を見て好機と言わんばかりに強気に出る。
「どうなのじゃ?お前達が何もしていない間にワシはこうして身体をはって短時間で情報を集めたのじゃ」
「なんと!?この短時間で……敵の魔王の痕跡を……ですぞ!?」
「……」
「さらにワシはこの様な身体……敵も油断してワシにコンタクトしてくる、つまり、ワシがサキュバス族を捕らえてくるのに適任なのじゃ」
「確かにそう……だな」
「ルカ殿の言う通りですぞ」
「(ふぅ……物は言いようなのじゃ……)
本当は何も考えずに喉が渇いたからと言って飲んだだけだが何とか切り抜けたルカ。
「みや」
{なぁにっ、エス}
「このバルゴの破片について分かったことは他にあるか?もしも毒ならばルカを行かす訳には行かない」
{特に死ぬ訳じゃなさそぅだょっ、ただちょっと……}
「何だ?言え」
{ぅん、みぇた事をそのまま言ぅねっ……『身体に吸収されると男性の場合は女性を求める様になるのと精力がかなり強くなる、女性が吸収すると魔力に応じて排卵し続けて身体の感度が』………}
「もういい、やっかいな状態なのは解った……本当に行けるんだな?ルカ」
「フン、ワシを誰じゃと思っているのじゃ、この程度で根を上げないのじゃ」
「さっきは叫んでいたがな」
「そ、それはそれなのじゃ」
「では最終確認だ、俺はここからアオイの援護をしてつつ、上から村を見て不審なことが起これば知らせる」
「私は我が君のお側に居て命に換えてもお守りするですぞ!」
「そしてワシはここにサキュバスを一匹連れてくるのじゃ」
「あぁ、やり方はそれぞれで自由だ、だが絶対にアオイの邪魔と危険に晒す行為だけはやらない様に考えろ」
「全ては」
「「{「アオイ様の為に」}」」
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