第422話 時すでにお寿司

 《セクシアル村 アイ家》


 「へぇ……なるほどぉ……」


 「さらにキング様はかっこいい話があって、もうさながら何者にも屈せぬ心で」


 あれから何時間経ったのだろう……窓の外はもう暗くなっている。

 てかさ、「もう暗くなってきたな」とか言って明かりを付けたなら話終わろうよ!キングさんがすごい事は解ったからさ!


 だけど態度に出す訳にはいかないので顔は笑顔を絶やしたりしない様にしている。


 早くこの話を終わらせてくれぇ!


 

 と、思った時、家にピンポンとチャイムが鳴った。

 助かったぁ。


 「ふむ、誰か来た様だ」


 アイさんは魔皮紙を見て外の様子を確認する。


 「どうやら、君のパーティーメンバーが来た様だ」


 そのままアイさんは玄関に向かった。


 「…………ふえぇ……」


 アイさんが見てないのを確認して授業中寝る時みたいに上半身を倒す……何気ない普通の行動だったはずだったが。


 「うひゃ!?」


 デカい胸が俺のあばら骨と机でサンドされた瞬間“変な感覚”が襲ってきてたまらず変な声がでて背筋をピンと伸ばしてしまった。


 「????」


 な、なに?今の感覚。


 「お邪魔しますですぞ……おおお!我が君!ムラサメ、今!戻りましたですぞ!」


 ムラサメさんが玄関から俺が見えるとすぐに入ってきて目の前で膝をつく。

 

 「あ、はは……えと、おかえり?」


 「はいですぞ!」


 「はっはっは、仲がいいな君達は」


 そう言えばアイさんはアバレー出身だったけどムラサメさんは知らないのかな?


 「それにしても、ムラサメと名乗るとは君も中々のムラサメファンだな」


 「ムラサメファン?」


 「あぁ、ムラサメ様はアバレーの代表騎士なんだが、冷静沈着でいつも仮面をつけていて相棒の『蜘蛛蛇』と2人でいつも任務を遂行する孤高の騎士……私も一度惚れてファンになったものだ、君もその口だろうムラサメ君」


 「私は本物ですぞ」


 「ハッハッハ、そうかそうか、本物ならばこんな何もない家に招いてすまないな、そろそろ夜になる、私はご馳走の準備をするからそこの客室でくつろいでいてくれ」


 アイさんはそういいつつも本物と思っていないらしい、ムラサメさんが過度なファンである意味やばい奴として見てると思われる……ほぇえ、こんなアニメみたいな事って本当にあるんだな。


 まぁ確かに、冷静沈着じゃなくこんなにお喋りして相棒も居なくてアバレー代表騎士なのにこんな所に来るのはあっちからしたらおかしいのか。

 仮面もしてるし本物かどうかなんて分かんないよね。


 俺はまったく疑わなかったな……いや、結果的にギルドカード見せてもらった時に本物ってわかったけど……ここはそのまんま勘違いしてもらった方が良さそうだ。


 「じ、じゃぁムラサメさん、お言葉に甘えてあっちの部屋に2人で行こっか」


 「御意ですぞ」



 


 そのままムラサメさんと客室と言われた部屋に入る。




 客室と言うくらいだからソファとかしか置いてないと思ったが客を泊める様の部屋みたいだ、入るとシャワーなどがついてるワンルームホテルの様になっていて、テーブルと机と……なぜかダブルベッドが一つ置いてあった。




 「我が君、此方へ」


 「ありがと」


 ムラサメさんはイスを引いてくれたのでそれに遠慮なく座らせてもらう。


 「ふぅ……」


 「お身体は大丈夫ですぞ?」


 「うん、特に今のところは何もされてないからね、他の人はどうしたの?」


 そう言うとムラサメさんは魔皮紙を取り出して俺に渡してきた。

 魔力を込めると形を変えてイヤホンになった。

 俺はそれを耳に付けると。


 {接続が4人になったのを確認した、どうやらムラサメはうまくやったようだな}


 エスの声がイヤホンから聞こえてきた、なるほど、音声通信魔皮紙か。


 「{他のみんなは急な環境変化をするより村のすぐ近くでテントをはって過ごしてるですぞ」}


 ムラサメさんの声が二重で聴こえてくる。


 「確かに環境がいきなり変わったからね、そっちの方がいいって人も居るかもね」


 {今から状況を説明する、アオイとムラサメは適当な話しをしながら聞いていてくれ}


 なるほど、もしも話しを聞かれていたらって事か。


 「そうですぞ、我が君は流石ですぞ、リーダーとしてどんな環境でもすぐに適応できる。素晴らしい、まさに神ですぞ」


 「はっはっは、言い過ぎだよー」


 言われた通りに適当な話しをしながらイヤホンの音声を聞く。


 {現在、俺は村のすぐ近くで監視をしている、今のところ変わったところは特にない、ムラサメはアオイの警護としてそこに居る、危険だと思ったらそいつを盾にしてでも逃げろ}


 盾にしてでも逃げろってまた怖い事言うな……


 {ルカは誰にも見られない様に動いて別の任務をこなしている}


 別の任務?


 {現在解っている情報を言っておく、魔族の種類は『サキュバス族』}


 サキュバス!?ってあの、エッチな夢見せたりなんやかんやで男からしたら憧れの魔族!?

 

 {そして奴らが扱うピンク色の液体、これは飲むと身体がおかしくなる媚薬みたいな物だ、もしも見かけたら触らず、飲まない様にな}


 ………………え。


 {以上、新たな情報が増えたらこの通信で知らせる様に}


 











 えーーーっと……え?

















 



 

 


 

 

 

 

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