第420話 分析の魔眼

 《セクシアル村近くの山》


 「上から見てるかぎりでは普通の村だな」


 {ぅん……でも何かおかしぃ}


 セクシアル村から少し離れた所の山の上から村を見ているエスと通信越しに見ているのはリュウト達と一緒に行動している、みや。


 「今は大丈夫なのか?リュウト達にバレると面倒だぞ」


 {ぅん、今こっちは代わりばんこで寝てるょ、ぃまは私1人}


 「そうか、ならとっととやってくれ」


 {ぅん、それとこの事はアオイ様に}


 「あぁ、ちゃんと報告してやる」


 エスは通信魔皮紙の画面を村に向け、みやに見えるようにした。


 {『分析』}


 みやの黒の目は縦細くなりもう片方の目は蛇の紋章が浮かび上がる。


 「どうだ?」


 {ここからだと少し分析に時間かかるみたぃ}


 「わかった、そのまま続けてくれ」


 {わかった。}


 エスはそのまま通信をした状態でその場から離れ、静かな山の森の中を見た。


 「静かすぎる……最後に魔物を見たのはあの獣人とコンタクトをとってからか」


 アイと会ってここまでエスはまったく魔物を見ていなかった。

 森は静かで獣の鳴き声すらしない。


 「む……」


 そんな事を考えていると森の中からルカを担いでムラサメが姿を現した。


 「よくここが分かったな」


 「わかるも何も貴方の使う武器を見れば予測できますですぞ」


 エスが使う武器は漆黒の双剣だが、その姿は仮の姿で本当は弓。

 そしてエスはアオイを護るために絶対に良いポジションから狙撃するためにここを選んでいたのだが、その考えはムラサメに見透かされていたのだ。

 しかし、これは弓を使うと知っていたらできる事なので、あえてムラサメはそう言ったのだろう。


 「ふん……それで、そいつはどうしたんだ?死んだか?」


 「私が見つけた時には道でうずくまって苦しんでたですぞ、気絶はしてるですぞが今も息はしてるので死んでいると言う事はなさそうですぞ」


 「そうか」


 「まぁ症状は見てもらった方が手っ取り早いですぞな」


 そう言ってムラサメは担いでいたルカをエスの前に放り投げ、ルカの身体はそのまま重力によって地面に背中から叩きつけられる。


 「が、ぁぁあおああああ!!!ぐぎぎぎ……あ……はぁ……はぁ……」


 ルカは衝撃は起きて地面でのたうちまわり何かに抗うように唾液を垂らしながら歯を食いしばり耐えた。


 「痛覚がやられたか?」


 「そうかもしれないですぞ」


 2人はルカの反応を見て驚きもせず分析するが、ルカは息を荒くしながら否定した。


 「違う、のじゃ……」


 ルカはガクガクと足を震わせながらやっとの思いで立つ。

 腕を何かにまだ抵抗しているのか胸の前で手を組み力をいれている。


 「何が違うんだ、あの程度で転がり回るほど痛かったんだろう」


 「痛がってた訳じゃないのじゃ!この……感覚はこしょばゆい様な……気持ちいい様な……」


 {分析、完了したょ、魔族の種類は}   


 











 {『サキュバス族』}


 
















 

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