第419話 ルカ回収

 《セクシアル村》


 「あぁ……可愛い、美しい、尊い……ですぞ」


 仮面を付け、全身マントで隠した男。

 アバレー代表騎士。

 その称号は誰もが憧れ、目指すものに辿り着いた男。


 その男は……今。


 「ぐへへですぞ、我が君我が君ぺろぺろですぞ」


 アオイの魔写真を眺めながらぺろぺろしながら村を歩いてた……

 流石に魔族達も「見ちゃ行けません」や子供が本能的に目を向けないようにしている。


 「まさか本当にこんな日が来るとは!我が君の為に働ける時が来るなど!このムラサメ歓喜で涙が止まらぬですぞ」


 仮面の下は泣いているのか不明だが、声は震えている。

 

 「さて、と、働いて私の罪を少しでも償わねば……お?」


 ムラサメが魔写真をポケットに閉まって前を見ると遠くの方で見たことのある白い特攻服を着ている青い髪の女性がうずくまっていた。


 「まったく、あんな道端で何をしているのですぞ」


 しかし、よく見るとそんな女性に対して声をかける様子は周りに居なくて、その様子を遠目で何人か見ているのが確認できた。


 「ふむ」


 ムラサメは慌てずに歩いてその女性……ルカの前まで来る。

 

 「何をやってるのですぞ」


 ルカはうずくまったまま顔をあげずに声だけで判断してプルプルと震えた声だった。


 「そ、その声はムラサメなのじゃ!良かった!」


 「何が「良かった」ですぞ?我が君の右腕であるアナタがそんな有り様ではこの先不安しかないのですぞ」


 「それに……ついては後じゃ……ハァハァ……」

 

 ルカは息遣いが荒い、明らかに異常だ。


 「それで、どうしたのですぞ?」


 「分からぬ、のじゃ……身体が、どうも……おかしいのじゃ」


 「ふむ、とにかくここでは目立つのですぞ」


 「分かってる、のじゃ……のじゃが、身体が」


 「身体が?どうしたのですぞ?」


 「分からないと、言ってるのじゃ!2回……聞くでないのじゃ!」


 「むっ、なら早く行くですぞ!」


 「あ……」


 ムラサメは段々とイライラしてきてルカの腕を掴み思いっきり引き上げると。


 「ク、ぁぁぁあああああああああ!イっ!!!!……………」


 ビクンっ!と身体が一回大きく痙攣した後、ルカは白目を向いて倒れ気絶した。

 倒れた後のルカは小刻みに小さな痙攣をしている。

 

 「まったく……とんだ恥晒しですぞ、まぁ気絶してくれていた方が楽かも知れませぬですな」






 そのままムラサメはルカを担ぎその場を後にしたのだった。





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