第418話 ルカ情報収集

 《セクシアル村》


 「しっかし、君の悪い村なのじゃどこに行っても子供子供子供子供子供子供」


 アオイと別れた後のルカはとにかく村を見回っていた。

 

 「ここら辺が子供が多い地域なのじゃ?いやしかし、歩き回っている感じそんなに大きな村でも無かったのじゃ」


 ルカが周りを見るとそこらかしこに獣人と人間の子供が仲良く遊んでいる。

 最初はルカも気にしていなかったが、異常なのだ。


 「大人の人数と子供の数が違いすぎるのじゃ」


 ルカが見て来たのは平均して大人1人に3人の子供がいる計算になる。

 さらに確認はできていないが建物の向こうからも子供の遊び声か聞こえて来ている。


 「ふむ、考えられるのはまだ発展途中の魔族が繁栄しようとしてるのじゃ?……しかし、今まで長い間どうして……」


 魔族が数を増やすのは解るが今まで時間はたっぷりあったはずなのだ。

 

 「お姉ちゃん、あそぼ!」


 「む?」


 ルカが少し考え事をしていると女の子が1人話しかけて来た。

 

 「ぼーる遊び!」


 「ぬぅ……すまないのじゃ、今はそれどころでは……」


 「ふぇ……」


 断られた女の子は泣きそうになる。


 「ま、まつのじゃ」


 「うぅ」


 ルカは何か無いかと周りを見るが周りも冷たい目でルカを見ている。

 

 「ぐぬぬ、これ以上目立つと悪いのじゃ……そうなのじゃ!お主、これを見よ」


 ルカは足元に落ちていた何の変哲もない手のひらサイズの石ころを拾う。


 「ふぇ?」


 「よーく見ておくのじゃ……ほれ!」


 ルカが握った石は女の子の目の前でどんどん形と色を変えていき


 「わぁ!すごい!」


 石ころは太陽の光を反射するほど綺麗な黒いクリスタルになった。


 「これをお主にあげるのじゃ、ワシは忙しいからこれで勘弁してくれぬかのじゃ」


 「ほんとに?やったー!うん!いいよ!お母さんに自慢してくるー!」


 そう言って女の子は母親の元に戻っていった。

 気がつくとルカを見ていた他の人たちも視線をもう向ける事なくそれぞれの用事や遊びをしていた。


 「あの雰囲気はいったいなんじゃったのじゃ……それはともあれ何とかなったのじゃ、ふぅ……」


 「お姉ちゃん!」


 「うお、どうしたのじゃ?戻ってきて」


 「これ!お礼にあげる!甘くて美味しいの!」


 先程クリスタルをあげた女の子は手に魔皮紙コップを持っていてその中にはアオイが飲んでいたものと同じピンク色の液体が入っていた。

 

 「ほう、たしかに少し喉が渇いたと思ってたのじゃ」


 「はい!」


 女の子はルカにそれを渡すとまたお母さんの所へ帰っていった。


 「ん……ゴクッゴクッ……ぷはっ」


 ルカはそれを一気に飲み干してコップを自分の魔皮紙に入れて動き出す。


 「しっかし……他に何か情報が……………キャウッ!?」


 何事もないように思えたが、それは突然やってきた……偶然、子供達が遊んでいて投げたボールがルカの足に当たる。

 それだけなのだが……










 「くっ……イ……!!!!!」








 ルカは何かを〝感じて″身体をビクビクと震わせその場にうずくまってしまったのだ。




 

 

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