第417話 話を変えないと!

 「えーっと……え?」


 何を言ってるんだこの人は。

 と言うか確かにちょっとネタとして見せられた時言おうとしたよ?「何これ?精子?」って言おうとしてたけどマジだったのかよ!?


 「ここに来ると本当に驚く事が多いのは分かる、私もそうだった」


 「ど、どうして精子が使われてるんですか?」


 「正直私も分からない、だがこの村では普通なんだ」


 「わ、訳がわからないよ」


 こんなの絶対おかしいよ!


 「まぁ、搾り取るのは結構簡単だから今日レクチャーを私がするよ」


 そこで俺は思い出した……確かキング偽物は〝夜が楽しみ″と言って二階へ行った事を。


 「そういう事かぁ……いや、お断りします」


 「大丈夫だ、キング様と言えば表では目立たない為に隠されていたがアバレーの騎士たちの憧れの人だったからな、その人と交わったとなれば自慢にすら……」


 「いや!違いますそういう問題じゃないですから!」


 「どうしてだ?君も獣人だろう?強い男に抱かれるのは本望だろ?」


 今、獣人化してるのは何かあった時に反応できる様にしてるだけで元は人間だよ俺!と言うか獣人ってそうなの?かっこいいより強いが優先されるのかな?そんな事よりどうやって断ればいいんだ。


 ……あ、そうだ!


 「僕、心に決めた人が居るんですよ」


 最高の断り方を見つけてしまった、おれは天才か。

 アイさんも納得してくれ!これ以上上手い事が思いつかない!


 「なるほど!それならそうと早く言ってくれれば良かったのに」


 なんとか納得してくれた!よし!これで男のモノに触ったりしなくて良さそうだ。

 

 「それならば【儀式】を行った後になりそうだな」


 「儀式?」


 「あぁ、この村に来てある程度慣れたら儀式があるのだ」


 うわ、それってアレじゃない?話の流れ的にすごく嫌な予感がする。


 「い、痛くない?」


 「?」


 「儀式ってこの話の流れから行くと僕の処女が……みたいなことでしょ?」


 「はっはっは、そんな事はしないさ、この村を出て少し行った所に神殿があるんだが、そこで祈りを捧げるだけだ、明日くらいに案内するから楽しみにしとくといい」


 うーん、そう言っても俺のさっきついた嘘とその祈りとどう関係があるんだろ。

 まぁでも話が終われそうだからこれ以上この話は掘り下げない方がいいよな。


 「分かりました、楽しみにしときます」


 「キング様にも伝えておく、君みたいな美しくて可愛い子を相手に出来ないのは悔やむだろうが好きな人が居ると聴くと納得してくれるさ」


 ヤバい!なんか本当にこういう話に抵抗が無くなって来た!

 健全な話に戻しながら情報を聞き出そう、えーっと。


 「好きな人と言えば、キングさんのどこにひかれたんですか?」


 それを聞くとアイさんは少し顔を赤くしながら目を逸らしチラチラ此方を見ながら話す……普段の強気のお姉さん系とは思えないほど乙女だ。










 「キ、キング様はアバレーの騎士の間では憧れの的だった人でな……私が会ったのはまだ新人の頃だった」

 








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