第412話 ここに来て初めての武器
《三日後》
「よし、ギリギリ間に合った」
俺の家の周りには高級テントがいくつもはってあり、そのどれもを倉庫として扱うと言う贅沢な使い方をしていた。
というか、全部ムラサメさんのお金だけど......
「これだけ使ってもまだ億単位で残ってるって代表騎士をみんな目指すわけだ」
もっとも、そんな邪な感情で代表騎士になれるほど甘くないのだろうが。
「そろそろルカ達が来る時間か......着替えよ」
俺は家に入って服を脱いでいく。
服を脱ぐと自分の白く何もない綺麗な肌が見え、下を向くと大きな胸で視界のほとんどを持っていく。
「はぁ......」
なんかため息でるな、今は嫌悪感は無いとは言え普通に女の子になっちゃってる感じが何ともまぁ変な感じ。
慣れないなぁ。
そして首まである黒い全身タイツを着てその上からいつものグリードで貰った服防具を着ていく。
普段肌が出ているところはタイツの黒になり多少気持ち的にマシになった気がする。
「さて、と、後はこれ!」
そう!そんなことより俺は今回から武器を持つことになったのだ!
それはこれ!
「クナイ!」
まぁ、俺の筋力で振り回せるのと後は色んな用途と血が出るのを見るの嫌だから塗りっ塗りにシビレ毒を漬け込んだ武器だ......魔物用で人間も効くみたいだけど魔族にも効くかな?
「やるからには忍者みたいにやりたいよね、目指せビッグボス」
ちょうどそんなふざけたことを言ってたらルカとムラサメさんが歩いてきた。
ルカは三日前と違いテントを数多く張り巡らした光景に驚く。
「これはまた随分と揃えたのじゃのぅ」
「ふふ、備えあれば憂いなしって奴だね、あ、ムラサメさんギルドカード、ありがとうございました」
「ですぞっ!?」
「?」
ムラサメさんは俺がギルドカードを返したらその手から震えだして身体全体に震えが伝染し終いにはいつも付けている仮面の隙間から汗か、涙か解らない体液が溢れ出してきた......な、なに?なにごと?
「「ありがとう」と......我が君が感謝の言葉を私に......私に!ですぞおおおぉぉおおうおおおおおお!」
「な、なんであの人は太陽に向かって叫んでるの」
「気にすることないのじゃ、アイツはいつもあんな感じなのじゃ」
「もう一人の僕はどうやって接してたんだ......まぁとりあえず、準備は整ったよ」
「うむ、では行くのじゃ」
「ところでさ、気になること質問していい?」
「なんなのじゃ?」
俺は今も尚、何故か感動に震えているムラサメさんを無視して話を進める。
「いや、単純な質問なんだけどさ、次の魔王のいる場所までどうやっていくの?」
普通に今までの傾向からして1回目はタマタマ吸血鬼の魔王の所へ行けた、そして二回目はヒロユキ達についていくだけでアヌビスの所へ。
しかし、今回はまったく別で、自分から意図して行くのだ。
「ワシに乗って行くのじゃ」
「ん?」
「まぁ見ておれなのじゃ」
そういってルカはクリスタルの翼を広げ空を飛び遠くへ行ってしまった......ん?おーいどこいくねーん。
ってえええええぇええええええええ!?
その日、俺は初めてルカの本当の姿を見た。
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