第404話 《人魚討伐》報告
《グリード王国 リュウトパーティー》
「《人魚討伐》完了だ」
『えぇ、あなたなら出来ると思っていましたわ』
大きな長いテーブルに大量のごちそう料理が置かれている中。
その料理に手を付けずにリュウトはただ座って報告をする。
「しかし、今回は犠牲が多すぎました......いくら罪人とはいえ」
アカネも目の前の料理に手を付けずにリュウトの隣で少し暗い顔だ。
しかし、二人とは真逆に普段ヒロユキの前では見せないような下品な食べ方で魔物のステーキを頬張りながら話す人間が一人。
「その点に関しちゃ気にすることねーよ、アカネの嬢ちゃん、ミーを含め海賊は明日死ぬかもしれないから今を悔いなく生きてるんだ、むしろ海で伝説にだった人魚から殺されるなんて海賊らしくていい」
見た目は小さな女の子で声も高い女の子だが性別は男のジュンパクは口を汚しながら次々と料理を食べていく。
「......」
「......」
『しかし、これで魔王は五人倒しました、これはものすごい事ですわ、だって私達では力が足りず倒せませんもの、流石異世界の【勇者】様ですわ』
「ん?五人?てことは!」
リュウトがここに来て初めて良い顔をして聞く。
『はい♪先程ミクラルから報告がありました、どうやらみんな無事で魔王を一人倒したみたいですわ』
「ふふーん、兄貴なら当然!」
それを聞きジュンパクは解ってましたと言わんばかりに胸をはる。
「ごちそうさん、流石王宮料理、どれもこれも上手かったぜ」
『もういいのですか?』
「元海賊なミーはやっぱりこう言うところは合わない、これ以上いたら殺気だってる何人かの兵達を殺しちゃいそう♪」
『そうですか、それは仕方ないですねすぐに手配を』
「いんや、その必要もないミーだけで帰るさ......じゃぁなリュウトの坊主」
ジュンパクはヒロユキにすぐに会いたいのか話ながらもう扉を開けていた。
「ジュンパクさん!何から何までありがとうございました!」
「私からもお礼を言わせてください、海賊の方々や船の手配......それに戦闘までありがとうございました」
後ろを向いてるジュンパクにリュウトとアカネは席から立ち深く礼をしながら大きな声で言う。
そしてジュンパクはその光景を見ずに
「おう、アイツらの事は気にするな、ヒロユキの兄貴やアオイお姉ちゃんに加え【勇者】であるお前がいなかったらどっちにしろ人間は魔族に支配されたままだった......特にミー達海賊は自由を求めて海に出てる、だからなんだ......うまく言えないけどこれからも頑張れよ坊主」
それだけ言ってジュンパクは出ていった。
『良い人ですね』
「あぁ、そうだな」
『では、話を続けましょう、現在魔王は五人倒してます残りは七人......それとリュウトさんの連れてきたあの子は今緊急治療中です』
「名前はナナというみたいだ、約束通り手荒な事はしないでくれ、いくら魔王の子供とはいえ、まだ何も知らない奴をどうこうする気はない」
『解りましたわリュウト様、私、サクラはグリード王国の王としてここに誓います』
「ありがとう、召喚してくれたのがサクラ王で良かった、もちろん他の王達も優しいかもしれないけどこの申し出はそんなにすぐに結論を出せないと思ったんだ」
『どうしてです?』
「失礼だけど人類を食料や絶滅危倶種として管理している事実を知って他の王達は今まで管理する事が長かっただろ?」
『つまり、王になって間もない私なら他の王よりも憎しみがあまり無いのではないかと言うことですね?』
「うん」
『ふふ、確かにそうですわね、私もまだまだ王として未熟、これからもよろしくお願いいたしますわ』
「そ、そんなつもりじゃ」
『わかってます♪からかっただけですわ』
「まったく。フフ」
『では次の相手ですが......』
「ちょっと待ってくれ......次?」
『はい、どうかしましたか?』
「いや、どうかしましたかって、え?冗談?だよな?」
『次の相手はですね』
「ちちちちょっと待ってくれ!俺たちはこの前戻ったばかりなんだ少し休ませてくれ」
『フフ、解りました、けど此方としては余裕はありません、それだけはどうか......』
「あぁ、またすぐ来るから待っててくれ」
『はい』
「と言うことだアカネ、行くぞ」
「はい、リュウトさん」
そういって席を立ち二人も騎士に案内してもらいながら出ていった。
『............』
「サクラ女王、どちらへ?」
壁に扉の近くに待機していた騎士が部屋を出ていこうとするサクラへ声をかける。
『自分の部屋よ、それとリュウト様の連れてきたあの魔族は絶対に救いだして元気になるまで面倒見るのよ』
「御意」
『それと、あの子の事はトップシークレットよ、王宮の兵達にそれは伝えなさい』
「了解!」
そのままサクラ女王は自室に帰り部屋の鍵を閉め、布団に横になり天井を見つめる......その顔には一切の感情もなく、まるで人形の様だ。
『なぜ助けるか?気になる?だって......』
誰も周りにはいないので誰にも聞こえるはずがない。
だが、この『女神』は【居るはずのないが居る人達に語りかける】
『人魚は新鮮な生き血と肉じゃないと食べても意味ないんでしょ?』
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