第395話 考えるのは後回し
《少し時を戻り アオイ》
「ゼェ......ハァ......」
あれからずーっと、天秤を能筋の様に殴り続けているが、全く進歩はゼロだ......
「なんの成果も得られませんでしたぁ!って奴」
酔いも覚めてきたが、状況は変わらない。
むしろ、覚めてきた分何もない空間に自分一人と言うことで孤独の恐さが出てくる......ってそんなこと考えちゃダメだ。
「よし!もう一回!」
「何をしておるのじゃ?アオイ」
「っ!?」
「そんなに驚かなくても良かろうのじゃ」
後ろから気配なく突然聞こえてきた忘れもしない'聞きなれた声'と'特徴的な語尾'......って!!!!
「なんでここに居るの!?ルカ!!!!」
そこにはかつてのクラスメイト、そして奴隷の俺のマスター......ルカの姿があった。
「居るから、なのじゃ」
普段和服を着ている彼女は「喧嘩上等」と書かれた白い特効服を着ている。
「答えになってないよ!?」
もしかして偽物か!?
俺は相手が女性というもの含めてもあって距離を取る。
「安心するのじゃ、ワシは本物のじゃ」
「信用する材料が無さすぎてね」
「ふむ、では」
ルカは地面に手をつく。
「錬金術?」
「?、まぁほれ」
「おぅふ......びっくりしたぁ」
バコッと下から突然クリスタルが下から出てきた!
「見おぼえあるじゃろ?」
「うーん......あ!」
そこの入り口にあるのと同じだ!
「ここに閉じ込めた張本人!やっぱり敵!」
「ズコーーッ!な!なんでそうなるのじゃ!お主が危なかったから助けたのじゃ」
なるほど、確かにそう考えると大量の兵士達やあの特大竜巻は入り口のクリスタルのせいでここまで来れないのか......敵だとそんなことする必要もない。
「てことは本当にルカ......?」
「最初から言ってるのじゃ、まったく」
「どうしてここに?外の兵士と竜巻は?てかこれ何?クリスタルどっからでてきたの?と言うか学校どうなったの?そう言えばどうやって僕達別れたっけ?あれ?」
「一気に聞くのじゃないのじゃのじゃ!詳しい話は後でゆっくり話すのじゃ......取り敢えず、これを壊すのじゃ?」
「そ、そうだけど......」
いやいやいやいやいや!気になること多すぎてヤバイから!そんな後でゆっくり話すとかアニメでしかないから!
「ほれ」
パキパキパキ......
「......え?」
ルカが天秤にポンッと触れた瞬間あんなにびくともしなかったのにヒビが入りだした......ええええええええええ!?
「ど、どうやったの!?」
「もう少しなのじゃ、ここはワシに任せてアオイは行くのじゃ」
「行くって?」
「早くせねばあのヒロユキという勇者とキールという小僧......」
「!、どうしてその名前を?」
「このままだと死ぬのじゃ......あの二人」
「え!?」
「いいから早く行くのじゃ!間に合わなかったら大変なことになるのじゃ!」
「う、うん!」
俺は色々な考えを後回しにして天秤に背を向け走り出した。
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