第393話 魔王メイト討伐?
ヒロユキ殿のするどい爪に魔王メイトは顔を斬られ体勢を整えながら私たちから距離を取ったが......
「ッグ......ガ......」
魔王メイトはすこしダメージを受けただけだが辛そうにしている。
「ヒロユキ殿、ありがとうございます!」
「......クルッポー」
メイトは切り裂かれた顔を抑えながら困惑している。
どうやら、上手くいったみたいだ......このチャンスを活かす!
「そのままたたみかけますよ!」
「......クルッポー」
私は鎧から魔皮紙を取り出し短剣を転送しメイトに詰めていく。
「ックソ!」
メイトは危機を察知して逃げるために上空に飛んだが......反応がすこし遅れている!
「甘い!ヒロユキ殿!」
「......クルッポー」
私もヒロユキ殿もその隙を見逃さずジャンプしその勢いのまますれ違い様に二人でメイトを斬りつけて着地する。
「ッッッ!」
斬られたメイトは上空に居るのが困難になったのかそのまま地面に落ちて膝をついた。
「我に......我に何をした!」
メイトは斬りつけられた箇所を抑えながら叫ぶが、顔を此方に向けるほどの気力も残ってなく地面を見ている......まぁ良いだろう、教えてやろう。
「私とヒロユキ殿の爪には貴様達アヌビス族にとっての猛毒が塗ってある、その毒は体内に入るとアヌビス族は過剰反応を起こし貴様達のあらゆる能力を低下させ、さらに血を凝固させる働きを持たせている......つまり、一回私たちの攻撃をくらえば貴様はもう死を待つしかないのだ」
「毒......だと!この我がその様なもの......に!............」
「そして先程で三撃浴びせたのだ、毒のまわりも早くなって今じゃ貴様は立ち上がるのも辛いだろう」
ゆっくりとメイトに近付いていくがもはやメイトは逃げることも話すことも辛くなったのか動かない。
「......」
「勝負あったな」
私はまた魔皮紙から今度は毒を塗ってない剣を取り出して処刑人の様に構える。
メイトはもはや時が止まったように地面を見つめたままだ......ひょっとしたら死んでいるのかもしれない。
「そう言えば名乗っていなかったな......私の名前はキール、冥土の土産に持っていくといい」
「......」
私はメイトの......魔王の首を切り落とした。
「......終わりましたね、ヒロユキ殿」
「......クルッポー」
あっけないものだ、あれほど力の差があった魔王だったが毒一つで逆転する......いや、これはユキさんの親友の成果か......
我々人間がもしもアヌビス族や魔族と戦争になれば勝てる見込みがほぼ0に等しいだろう。
ならば弱点を探してそこを狙うのは当然だろう......ここまでの効力だ、もしかしたらかなりの大発見ではないのか?これは......
「......クルッポー」
「ヒロユキ殿の身体は未だに変わりなしですか......やはり天秤を壊さないとダメみたいですね、ここですこし魔力を回復し外に出ましょう」
私は魔皮紙から魔力回復のために《シクラメレンジュース》を出してもう一度メイトの方を見ながら野む......首が切り落とされたメイトからは血は凝固されていて出てきていない。
「取り敢えず魔皮紙を使って連絡を」
そして、ヒロユキ殿にまた振り返ると
「............ヒロユキ殿?」
すぐそこに居た黒いベルドリは居なくなっていた......
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