第385話 キールとヒロユキペア

 魔物になったヒロユキは一番戦力があると思われるキールとペアで行動していた。


 「ヒロユキ殿、10秒時間を稼いでください」


 「......クルッポー」


 キールはヒロユキに全て任せて目を閉じて集中する。


 「......クルッポー」


 ヒロユキの羽の先には黒い小さなナイフ、そして口にはいつもの黒刀を咥え、足にも黒いナイフを仕込んでフル装備だった。


 「見ろ!アイツ無防備だぞ!」


 「集中攻撃しろ!」


 キールに向かって魔法攻撃が飛んでくる。


 「......クルッポー」


 「なんだと!?」


 「こいつ!魔法をはじくだと!」


 「ひ、ひるむな!撃てぇ!」


 ヒロユキの黒刀は山亀の甲羅をアバレーで特殊加工し液体にしたものに一週間つけこんで染み込ませた特殊な物。

 【魔法反射】を付与していて、これは反射する面積が狭いほど効力を発揮する。


 「......クルッポー」


 キールの前に立ち次々と来る魔法攻撃をはじいていき、10秒。


 【周りが冷気に包まれた】


 「【武器召喚】」


 キールの手に氷の剣と黄金に輝く盾が出現した!


 「ヒロユキ殿、ありがとうございます、下がっててください」


 「......クルッポー」


 ヒロユキはキールの後ろへ飛んで今度はヒロユキを守る形でキールがアヌビス兵達に立ちはだかる。


 「【エアールシールド】」


 キールが魔法を唱えると持っていた盾はキールの手から離れ次々と来る神速で動き、次々と来る魔法攻撃を吸収していく。

 

 「さぁ、反撃だ!」


 そして溜まったエネルギーを放出し一直線に兵士達を塵にした。


 「【フリーズソードシールド】」


 次に唱えた魔法でキールとヒロユキの周りに氷の剣が10個程展開され、自ら意思を持っているかの様に浮いている。


 「ヒロユキ殿、それは周りに来る敵を自動で攻撃してくれる守りの剣です、まずはあのピラミッドに入ります!行きますよ!」


 「......クルッポー」


 キール達が走り出す。


 「相手は人間とベルドリだ!臆するな!」


 キールとヒロユキに向かってアヌビス兵達が全員で襲いかかろうとした......だが


 「愚かな......」


 浮いている氷の剣が次々とキール達の周りに来た兵士達を斬りつける......すると


 「な、なんだ!これは!?う、うわぁぁぁあ!」


 「ぎゃぁぁぁあ!」


 斬りつけた箇所から血は出ずにそこから氷って行き最後は内蔵から血液まで全て凍りついてバラバラに砕けた。


 「我が剣は触れた物のあらゆる物質の温度を操る......解るか?貴様らの命は触れた時点で決まっている」


 そういってキールは凍っているアヌビス兵の死体を踏み潰す。


 「私も喋りすぎたな、だが同じことだ......貴様達は全員、ここで死ぬからな。行きますよヒロユキ殿」


 「......クルッポー」


 そのまま兵達の中に入っていき圧倒的な力でねじ伏せていく。



 アヌビス兵達は焦る。




 未だに一人も殺せてないのだ。


 国の総力をあげて、たった五人に戦争を仕掛けているのに。


 一人は炎の龍を操り、超級魔法を一人で出すほどの魔力の持ち主。


 一人は綺麗に舞うように気絶させていく者。


 一人は触れれば最後の圧倒的な力を持った強者。


 一人は魔法を弾き、補助を貰ってる黒い魔物。



 そしてこの四人が目立つ中、圧倒的なジャンプ力で飛んでいた者に気付いてるものが居なかった。

 その魔物もリュウトと一緒にいることで加護を受けさらに魔物なのに自分で魔法を使って強化している規格外の化け物。



 「あーたんキーックー」


 誰も聞いていないすっとんきょうな声がした後、ピラミッドのてっぺんからあーたんが落ちくる。



 そのままピラミッドを貫通し着地の衝撃派でピラミッドは崩れていった。

 



 「つーぎー♪」



 再び崩れゆくピラミッドから空高く飛び上がって見えなくなる。




 「どうなってるんだ!相手は人間!我ら魔族の食料だぞ!」


 「こんな......こんなはずはない!」


 「後方からより連絡!此方の超級魔法準備整いました!」


 「よし!これで!今すぐ撃て!」


 「そ、それでは兵達も巻き込んでしまいます!」


 「構わん!この状況!一刻を争う!」


 「は、はい!」


 何千人が一つの魔法陣に魔力を込めた物を放つ。

 その魔法陣から出た砂塵の竜巻がアヌビス兵達を巻き込みながらそれぞれに向かっていく。


 それが15......本来ならば三個あるだけで人間の大きな町一つが滅びるだろう。

 

 「超級魔法の【トルネードグロス】をアヌビス族で改良したものか......グリードに手土産が出来た」


 「......クルッポー」


 「ヒロユキ殿、安心してください【目撃護】」


 竜巻がヒロユキとキールを飲み込むが......


 「......クルッポー」


 「私がヒロユキ殿を見てる間ヒロユキ殿に傷ひとつつけさせません他もどうにかして対処するでしょう逆にこの中には兵達は入ってこれません、どうやらこの竜巻は私たちをターゲットにして付いてくるのでこれを利用して移動しましょう」


 「......クルッポー」


 




 竜巻に吹き飛ばされながらバラバラに切り刻まれ赤い砂と一緒に舞い上がっていくアヌビス兵達をよそに竜巻の中を二人は歩いていった......








 


 

 

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