第384話 【手紙』

 《ピラミッド魔王城》


 神秘的に染め上げられたピラミッド内部の中央に石で作られた豪華な王座。

 そこに目を閉じて時を待つ者が一人。


 「ヌルスはよくやってくれた......」


 その人物の手には真っ赤に染まった魔皮紙が。

 これは、『女神』が近くにいたことを意味する。


 「ヌルスの魂を通して貴様らの行動は筒抜けだ」


 どこからともなく浮きながらワインとタンブラーが来て勝手にそそがれる。


 「だが、魔神様からの命令だ......貴様達がここまで来れたなら俺が直々に相手をしてやる」


 魔王メイトは赤いワインの中に氷のような感覚で白い何かを入れ飲む。


 「やはり、人間の魂の味はまた格別だ......その魂が汚れていれば汚れている程味が濃く美味さが増す......」


 飲んだ後にパチンと指を鳴らすと魔王の目の前に次々と映像が現れ、ユキ達一人一人を映し出される。


 「こいつか」


 魔王の目はアオイが映し出されたモニターで止まる。


 「魔神様に寄るとこいつだけが異端......だが勇者同様殺せるなら殺せと命令が来ている」


 そのまま現在闘っている人間達全体を見渡す。


 「ふむ、我が軍を相手によく闘っているが、その程度ならば我を倒すことは出来ない、貴様達が戦っている兵達はこの国の半分程度だ、さらに人間界より援軍と遅れて到着する援軍に耐えれるか見物だな」


 魔王は余裕の笑みを浮かべて観戦する......まるで勝利を確信している様に......


 だが

 


 {魔王様!魔王様!}


 「どうした」


 通信が入ったのは此方に援軍で来る兵を束ねている幹部からだった。

 

 {緊急事態です!新しい侵入者が!}


 「......此方へ来るポータルは閉じていなかったのか?」


 {いえ!閉じていたはずですが!......うわ!?うわ!うわぁぁあ!}


 「......」


 そこで通信が途絶えた。


 「勇者の仲間か?......どれ」


 メイトは援軍のアヌビス兵の魂を使い正体を見ようとする......だが。




 「馬鹿な......」




 援軍の数はおよそ1000万人......ライブラグス国の四分の一。

 絶対に'全滅'することなどありえない......そう、絶対にありえないはずなのだ。

 


 「何があったと言うのだ」


 しかし、どの魂にも接続できない......それはつまり


 「ものの数時間で全滅した......と言うのかいったい何者だ!?」


 それもそうだ、魔王メイトは『彼女達』の存在をまだ知らなかったのだから。


 『彼女達』はかつての









 『天災』





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 



 そして彼女達は先程までアオイ達が居た場所から見下ろす......


 


 「おー、派手にやってるのじゃ」


 「派手、否定、先輩の方、派手」


 「クククッ、そうかの?まぁ許すのじゃ久しぶりの姿だったのじゃからついはしゃぎすぎたのじゃ」


 「危険、獲物、気付く」


 「そこは大丈夫なのじゃ、なんせ生命反応がある奴は全員殺してやったのじゃ」


 「......」


 「はいはいわかったのじゃ、じゃぁ後は作戦通りに頼むのじゃ」


 「否定、私、作戦通り」


 「ぐぬぬ......つべこべ言わず早く行ってくるのじゃ!」

 

 「了解」


 

 彼女達は動き出す。



 【手紙』に書かれていた通りに......




  

 

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