第382話 いくら数を揃えたところで
それぞれが軍隊に向かって走り出し、それを確認するとピラミッドに乗っているアヌビス兵達からおびただしい数の矢が勇者達に向けて放たれる。
まるで矢の雨。
避けることは不可能。
「来ました!ではそれぞれ展開してください!」
ユキの掛け声と共にアオイとキールが魔皮紙を展開しあーたんとヒロユキは近くにいたアオイとユキに展開したもう一枚の魔皮紙をはってもらう......すると一人一人の身体の周りに薄くドーム上にバリアが張られてその中に矢が入った瞬間燃え尽きて無くなる。
「これで飛び道具は防げます!後は各自魔王を見つけ次第通信を!」
「うん!」
「......クルッポー」
「了解」
「わかったー!」
それぞれが散開してユキだけその場に止まり杖を構える。
「さて......人数が人数ですからね......本気でいかせていただきます!」
天高くに大きな三個の魔法陣が展開され、アヌビス族はそれを見上げる。
「あ、あれはなんだ......人間一人が作り出したと言うのか!?」
「避けろ!各自あれの着地点から出来るだけ遠くへ!」
蜘蛛の子を散らすように三つの魔法陣の下にいたアヌビス兵達は必死に逃げる......だが
「逃げても無駄です!【メテオクラッシャー】!」
魔法陣の中からとてつもなく大きな火の塊が超速で落下を始める。
まるでそれは隕石......
「とりあえず炙り出しです!」
そのまま隕石はそれぞれピラミッド三個に当たりピラミッドと一緒に周りのアヌビス兵達を根こそぎ吹き飛ばす。
そしてその後に大地を震わせるほどの音が遅れてみなの耳に聞こだす。
「残念です、ハズレでした......今のでザッと少なく見積もっても200万人は殺せましたかね?でもまだまだ居ますね......お掃除開始です!」
アヌビス族は自分の考えを改めた......【たかが数人の人間達】......それにここまで全力の兵で挑む必要があるのか......数日前から魔王から緊急事態宣言が出て他の魔族と戦争が始まるのではないかと思うほどの準備をしたが、蓋を開ければ戦争ではなく数人の人間の殲滅。
しかし、
目の前の一人の人間はほんの数秒で軍の10分の1を削ったのだ。
さらにピラミッド内部にある補給物質まで一緒に......
「これは......これは殲滅などではない!戦争だ!」
もはや敵を一つの軍として認識に切り換えるのにそう時間はかからない。
全力で......
「全力であの者達を殺せ!奴ら一人一人が我々の想像の上を行く生物と思って惜しみ無く攻撃をたたみかけろ!」
「メイト様のために!」
「「「メイト様のために!」」」
兵達は掛け声をあげ、武器を構えて一斉に走り出す。
「遅いんですよ。気付くのが......これでヒロユキさんが万全ならこの程度じゃすみませんでしたよ」
そう言いながらユキは魔皮紙から取り出した《シクラルモン》を飲み干して瓶をその場で投げ捨て袖で口を拭く。
「次いきますよ!【ボルケーノドラゴン】!」
杖の先から炎が出てきて徐々に形を変えて炎の龍になる。
「さぁ!行ってきてください!」
そのまま炎の龍はアヌビス兵達に行き。
「ひ、ひぃ!な!」
触れたものを全て焼き付くしていく。
「な、なんだこれは!くっそ!」
ある兵士はギリギリで龍の攻撃を避けて剣で攻撃したが......
「う、うわぁぁあ!」
その攻撃もむなしく魔法で強化されているはずの剣ごと腕が塵となって消えた。
「ひ、ひるむな!」
「うおおおおお!【ウォーターポンプ】!」
暴れる炎の龍に対して兵士達はありったけの水魔法をぶつけてやっと粉砕した。
「水だ!こいつは水に弱いぞ!」
「奴は魔法使い!懐に入って斬りつければ!」
そんな声を出しながら仲間達を鼓舞し、ユキに向かってまだ何百万の兵士が進軍を返ししたが......
「懐に、入れれば。ですがね」
ユキは余裕の表情で炎の龍を5匹出し放ったのだった。
「さぁ、私の魔力が尽きるかあなた達の数が勝るか......我慢比べです!」
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