第342話 【魔神】『女神』【アオイ』

 『!?』


 「!?」


 {【キャハッ♪どうしたの?鳩が豆鉄砲くらったみたいな顔して!お母様はなんとなく解ってたんでしょ?』}


 『......』


 {【ね?お母様?』}


 『うーん、何言っちゃってるのかなぁ?あんたみたいなの知らないんだけどぉ、それにその呼び方やめてくれない?』


 {【キャハッ♪なにそれー?歳を感じるから?お母様ずーっと大昔から居るのに今さら気にしてるの~?』}


 『それを言うならあんたこそ喋る赤ん坊で気持ち悪い~』


 「ええぃ!貴様らの歳なぞどうでもいい!貴様は誰だ!」


 {【私はアオイ。『女神』で【神】のハーフよ』}


 「『女神』で【神】?」


 {【そ、私はどちらでもないの♪』}


 『......』


 {【この身体、お母様が作ってくれたんだよね?すごいよ!すごい!完璧な身体よ!でもざーんねん、この身体はもう私のもの♪』}


 『ふーん......そ』


 思ったよりの反応の薄さに【アオイは特に気にしていない』


 {【今は私たち三人で話してるの、【神】の後介入はご遠慮くださーい』}


 ......


 「それで、そのハーフが俺になんの様だ?」


 {【あなた、だけじゃなくあなたたち二人ね?』}


 「......」


 『......』


 {【そう言うわけで!初めまして!こんにちは!こんばんわ!ばいばーい』}


 {}


 「存在の証明か......挨拶と言い、挨拶だけして帰ったがハーフという情報しか残していかなかった。それで、あいつはなんだ?」


 『はぁ~?知るわけないじゃな~い?何あいつ、ほんっとぅに腹立つんですけどぉ』


 「お前の事をお母様と言ってたが?」


 『それ以上言ったら殺すわよ』


 「何を言っている?元々俺に無礼を働いた奴が生きて出れると思っているのか?」


 『キャハッ♪良いのぉ?あんたが相手してる人わかってる?』


 「貴様こそ、俺が解ってないと思ってるのか?その身体、随分と使いにくそうに見えるが?」


 『......』


 「今の貴様など魔王三人程度の実力......恐れるに足りない」


 『私を舐めた口を聞いた事を後悔させてあ、げ、る、あんたもあのワケわからない奴も♪』


 「ぁ、ぁの......」


 二人がまた殺気と溢れんばかりの魔力を出して空間が歪む中。

 本当ならそこら辺の強い魔物よりもさらに生態系の上にたつ程の力を持ったみやが怯えながらも声をかける。


 「ちっ......まだ居たのか」


 『ほんと水をさすわねぇキャハッ本当に死にたいみたいねー?』


 「こ、これ......」


 みやが取り出したのは一本の『黒髑髏薔薇』


 「!?」


 『!?』


 それを見た瞬間、魔神は魔法陣を一瞬で展開して巨大なレーザーをみやに放つ!

 みやと魔神は数メートルその攻撃が届くのに一秒もかからない......しかし、その攻撃はみやの前に出てきた白銀の『女神の翼』に弾かれ壁に大きな穴をあける。  


 壁から出たレーザーは海と雲を真っ直ぐに割りながらどこかへ消えていった。


 「どういう風のふきまわしだ?お前が殺さないなら俺が殺してやろうと思ったが?『女神』」


 『女神』はきれいな翼を消して答える。


 『女は......気が変わるものなのよ......』


 「どうした?その身体も限界が来ているようだな?そんなので次の俺の攻撃が耐えられるか?」


 魔神の後ろに先ほどの魔法陣がどんどん展開されていく。


 『ちっ!それ!寄越しなさい!』


 「ぁ......」


 みやの手に持っていた『黒髑髏薔薇』を奪い取り。


 『あむっ!にっがーい......』


 黒い花びらを直接かじりとった。

 そして......『女神』は言葉を紡ぐ。


 『魔神の発動させようとした魔法陣は全て女神に無効化される』


 「ちっ!」


 発動しようとしていた魔法陣が全て消えていくのを見て魔神は苛立つ。

 そして『女神』は再び翼を広げる......先程よりも大きく、そして美しく......四枚の翼を。


 『ふーん♪そっか......そっかそっかそっかそっかそっか!【アオイ』!挨拶に手土産は大切よねぇ!いいわいいわいいわいいわ!もうさいっこう!に気持ちいい♪イっちゃいそう!私の機嫌は最高よ!【アオイ』、あんたを殺すのはこいつを殺してからにしてあげる♪』


 「ふん、俺を殺す?力を少し取り戻したからとこの俺が......」


 『あーほんとっ......バカよねぇ!あんたを殺すのは私じゃないわ』


 「ほう?」










 『あんた達を殺すのは......【勇者】よ』














 そういって、『サクラ』は自らの魔力で【転移魔法】を使い、その場に居た国王三人とみやを転移させ消えていった。


 









 「......」





 消えていったその部屋には女神の白い羽がヒラヒラと舞っている。






 「【勇者】か......」








 魔神はその言葉に懐かしむように自らも転移して消えていった。


















 『さぁ、これから始まるわよ。』


 


 『【勇者】対【魔王】の戦いが』




 


 

 

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