第341話 【アオイ』のご挨拶♪

 『ふーん、大体話は解ったわ』


 「サクラ......?」

 

 目が赤くなり、サクラ女王の雰囲気が変わる。

 その場の国王達はそれを感じ取っていた。


 『お父様♪私のために【勇者】を召喚してくださってありがとうございます♪』


 「............?」


 カバルト王と他二人の国王は雰囲気が変わったサクラ情報に違和感を覚える。


 『ふふん♪』


 サクラ女王は周りを見回すと


 『なるほどね......気付いてるんでしょ?あなたのターンは終わり、ここから先は見ちゃダメよ?』




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 「ふむ......やはりな」


 魔神は頬杖をつきながら発動させていた魔眼を解く、その手には真っ赤に染まった魔皮紙を持っていた。


 「さて、あの出来損ないも根本を理解したようだ......そろそろ答えを......誰だ、そこに居るのは?」


 魔神は後ろを見ずに答える。

 この部屋には現在、本来【魔王】が座るべきイスが12個あり、その中の一つに一人だけ座っている、なのでこの部屋には一人しかいないはずなのだが。


 「さすがっ、【魔神】の座をとっただけの事はぁるねっ」


 魔神の後方から白く艶やかな髪と整った顔立ちの可愛い少女が目に蛇の紋章を浮かべて魔神をみている。

 

 「フン、その気配。まだ生き残りが居たとはな」


 「そっ、だからまだぁなたは魔神じゃなぃのっ。」


 「良かろう、ここで貴様を殺せば正式に俺が魔神になるわけだ」


 魔神はゆっくりと立って少女に振り返る。


 「残念だけど、ゎたしはもぅその座に興味なぃのっ」


 「ほーう?」


 少女、『みや』は魔神を真っ直ぐ見つめる。


 「世界も力も魔神も何もかもどぅでもぃぃっ......リュウトさぇ居れば」


 その言葉を聞いて魔神は笑いをこらえきれずに大声で堂々と笑いだす。


 「クククハハハハハハ!傑作だ!人間に恋をした『魔王』だと?その身体が人間の形をしていて良かったな!お前の本当の醜い姿を見てそいつはどう思うか」


 「リュウトは......それでも仲間としてみてくれるっ!」


 「俄然その人間に興味が湧いた。貴様の様な化物を仲間と言う人間はよほどの馬鹿かそれほどの力の持ち主」


 「リュウトは馬鹿じゃなぃっ」


 「フッ、それで?俺を倒して魔神の座を奪いに来てなければ、なぜここにきた?」


 「【ある人』からのぁいさつっ」


 「ほう?一体だれの」


 その瞬間、『発動させていないはずなのにサクラ女王達を送った転移魔法陣が発動した。』


 「来たか」


 転移魔法陣から転移してきたのは国王四人。

 そして、サクラ女王が先頭で『立っている』。

 

 『あら、一人増えてるわね?』


 それを見た瞬間魔神は指から圧縮した空気の弾を音速でサクラ女王の足に撃つ。


 『キャハッ♪あぶな~い』


 その攻撃が肌に当たる寸前で魔法陣を発動させ消す。


 『レディが折角たったんだからそこは驚いてくれないとぉ』

 

 「フン、久しいな......『女神』」


 その言葉を聞いても誰も反応がない......いや、良く見ると国王達の目は少し虚ろになっていてまるで操られている。

 そして魔神は状況を把握する。 

 


 「なるほど、『呪い』か」


 女神は嗤う。

 

 『ピンポンピンポンピンポン~!正解♪時間が惜しかったから軽くしか呪いかけれなかったけどこれから先はこの子達を私の良いように操るつもりよ♪それにしても良くできました!昔みたいにナデナデしてあげよっか?ん?♪』


 「黙れ」


 『キャハハハ!「黙れ」だって~!聞いたお父様?ウケル~..................神に向かってなんて口を聞いてるのかしら』


 どちらも空間が歪むほどの魔力を出す。

 しかし、この場にはあと一人【お使い』を頼まれた者もいた。

 その者は久しぶりに浴びる『女神』の魔力に恐怖を覚えながら震える声で話す。


 「ぉ、ぉ久しぶりですっ......主様......」


 『ん~?』


 女神はみやをジーーーッと見て目の蛇の紋章に気がついた。


 『あ、まさかニョロニョロちゃん?』


 「は、はぃ......」


 『うっそ~懐かしい♪元気だった~♪なんで人間の身体になってんの?キャハハ』


 「わ、私は【キャンサー】の作戦にはめられ古代の【勇者】から封印をっ......」


 しかし、その言葉を遮ってみやの首は『何か』にしめられる。


 「ュッ!?」


 『あんたらさぁ、本当に使えなさすぎ。折角私の力をわけてあげたのに弱い人間や魔物をいじめるだけいじめといて自分より強い奴にはあっさり負けてさぁ、のこのこ今ごろ私の前に出てきて、なんなの?殺されたいのかなぁ?♪うーん、どう殺そうかな?その目ん玉をぐちゃぐちゃにして奥の線ごと引っこ抜いてから~』


 体験したことのある事を言われみやは震え上がり、脂汗をかく。


 「や、......っぱり......考えっ、が同じ」


 『考えが同じ?』


 女神は魔法を解く。


 「カ、ハ......はぁはぁ......」


 「どうやら、全知全能であるお前ですら知らないことがあるみたいだな。」


 『黙りなさい♪ピーピー泣いてたチビが調子にのるな♪』


 「貴様!」



 「......私はただ、【あの方』の言伝を届けに来ただけですっ」


 みやは一枚の魔皮紙を取り出して魔力を通す。

 そしてモニターになった魔皮紙の先に映っていたのは。



 {【ご機嫌よう♪魔王の神様♪そして......初めましてお母様♪』}




 どこかの家の木のイスに座って楽しそうに【魔神】と『女神』を見る。




 {【キャハッ♪』}




 【アオイ』の姿があった。








 

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