第331話 【もう一人の【何か』】
{数年前......この世界にまた『女神』が降臨した。『女神』降臨儀式に必要な物は人間の皮で作った魔皮紙に自分の身体の一部を置いて魔力を流すだけ}
{それと同時に【神】は自分の【使徒】を作った、まぁ僕達なんだけどさ、めんどくさいよねぇいきなりこんなになって}
{その女神は彼女の願いを叶える代わりに体を要求してきた......そしてその条件を飲んだ}
{彼女に何があったかは知らないけどこれで女神は身体を手に入れた訳だ、しかし彼女は元々体の弱い子でね寿命も短く先がない、そこで女神は考えた......新しい完璧な体を}
「ほーん、なるほどな、女神ってのは自分の身体を持たない何かって事か」
{そして女神に思ってもないチャンスが来たんだ、それが【勇者】召喚}
「【勇者】......すでに召喚されていたのか......」
アビはその単語を聞いて奥歯を噛み締める。
{まぁ、アビの事はこのあと話してもらうよ、魔王の意見も重ね合わさなきゃ僕だけではわからないこともあるからね}
「......」
{で、女神は考えたわけよ、こちらの世界に来る勇者の一人の構造や性質を自分の思い通りに作ってその【勇者】の体を手に入れようとした、生け贄の一人に自分の魂を少し切り分けたのさ、それで【神】の領域に入れることが出来た。}
{そしてその『器』こそが}
ルコサが指をならすとモニターに金髪のこの世の美を集めた顔が映し出される。
{【アオイ』}
「な!?」
「ちっとは落ち着くさね新入り、いちいちコイツの話に突っ込んでると日がくれてしまうさね、とりあえず全て聞いた後でゆっくりと質問タイムさね」
「くっ......アオイ......」
ルダはアビを見て懐かしむ......まるで昔、アオイを一刻も早く殺そうとしていた自分のようだと。
{アオイは神と女神のサラブレッド......女神はすぐにその体に入ろうとしたけど神のガードが固すぎて入れなかったんだ、入るにはアオイの心を穢れを利用して内側から破ってもらうしかなかった。そこで女神はアオイの中にある魂の一部を使って内側からガードを破ろうとしたんだ}
{それにはエネルギーが足りなかったんだろうね、女神はアオイの負の感情をエネルギーに変えるように細工したんだ}
「奴の負の感情......あの時は食べられた後だったってことさね。」
ルダは初めてアオイが来たときの事を思い出す。
あの時のアオイには心が無かった、まるで魂の抜け殻のように......
あれは何らかの負の感情を根こそぎエネルギーに変えられていたんだろう。
{そして女神はアオイにあらゆる負の感情を植え付けようと《人拐い》にアオイの馬車を襲うように仕込んだ}
{それでアオイは奴隷になったんだけど、ここで【神】にも『女神』にもイレギュラーが起こった}
全員イレギュラーに疑問を抱く。
これが普通の人間ならわかる、しかし、相手は神だ、【予想もつかない事』などあったらそれこそ神の定義が崩れてくる。
{アオイの中にもう一人の『女神』が産まれた。}
「な!?ま、まさか!」
アビが驚愕のあまり立ち上がってしまう。
{やっぱりか、そう......君が会ったのはその『女神』だ}
他の人たちは冷静だが当時この話を聞いたらみんな驚いていた。
絶対悪の『女神』、そんなのが二人も居たらこの世界は一瞬で無くなるだろう。
{まぁ、座って座って~俺がこうやって話すと}
「驚きすぎて息が苦しくなるさね」
{そういうこと、この時点で産まれた『女神』これを仮に【X』と名付けよう}
{【X』はアオイの体を気付かれないように呪いをかけたり時には使ったりして自分の組織を作り上げた、名前は知らないけどね?}
{早急に【X』を殺そうとしたけど動きが妙だった......【X』は『女神』でありながら【勇者】を助けたりとかね}
{そこで神は【X』を放置して......}
「あーもう!そんな俺たちの知ってることは後で話せ!そろそろそんなこと知ってる俺達を集めたんだ、俺たちの知らないことを言え!殺すぞ」
{えー......ほらあびたんの歓迎会だよ!パーティーとか......}
「んなもんどうでもいいんだよ!殺すぞごらぁぁぁあ!!」
{こわいこわい、じゃぁ、超重大事項を言うよ}
{【X』が神と同化した}
「「「「!!!???」」」」
{トリガーとなったのはまた負の感情だろう、つまり、今の【X』は僕達の主の神でもあり女神でもある存在になった【何か』だ}
{そのせいで居場所も僕達が見つけれなくなって今【アオイ』がどこにいるかもわからない、まるで彼女事態が見つけてほしくないみたいだ}
{どちらにしろ、【アオイ』が味方になるのか敵になるのか}
{【アオイ』次第だ}
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