第314話 セミマル

 「こ、ここが私の家です」


 あれからすひまるちゃんの身体をチェックして何もないのを確認し、とりあえずお互いにこれ以上あそこに留まるのは危険だと判断してすひまるちゃんの家へ来た。


 元々すひまるちゃんも泥棒していたのでここまでくるルートは吸血鬼の目につかないルートだったので助かった。


 「お邪魔しまーす」


 「ひとまず、他の吸血鬼に助けを求めなかったから少し信じてやるのじゃ」


 ルカは剣を消し、家へ入る。


 すひまるちゃんの家は7畳の1DKのボロアパートみたいな......ミクラルでのルカの家は豪華だったからこっちの方が俺は落ち着いて好きだな。

 そして一番さっきから気になることがある。


 「あの......明かりは?」

  

 ここに来るまでにほとんど明かりがないのだ、街灯すらもなく家に入っても魔法で明かりをつけることもしない。


 「ごめんなさい......わ、私達吸血鬼は明かりをあまりつけません......暗闇のなかでも見えるので」


 「そうなんだ......最初に言っておくと僕あまり見えてないから何か踏んだりしたらごめんね?」


 目が慣れてきたけどほとんど見えてない。


 「それと、僕何だかんだ状況が急展開すぎてここら辺でみんなで整理したいんだけど......」


 「そうじゃの、ワシも聞きたいことは色々あるのじゃ」


 「は、はい......その前に少しだけ、いいですか?」


 「ん?」


 すひまるちゃんは押し入れのふすまを開けると


 「おねーちゃんおねーちゃん!」


 とバスケットボールくらいの丸いフサフサした生き物が喋りながら出てきてすひまるちゃんに飛び付きそれをヌイグルミみたいに抱き抱えた。


 「ただいま、セミマル」


 「そ、その子は?」


 「わ、私の弟です......」


 「え!?」


 えと?え?どゆこと?


 「そ、その驚くと思いますが私も子供の頃はこんな感じでした」


 「ぅー!この吸血鬼たちだれ!」


 なんか警戒されてるけど、ヌイグルミみたいでめっちゃかわいいんだけど


 「おーよしよし、僕は吸血鬼じゃないよー、おいでー」


 「!?、吸血鬼じゃないの?」


 「セ、セミマル......ほら、これ」


 「わー!ごはんだー!」


 すひまるちゃんはセミマルに持ってきた輸血パックを見せてそのままストローを指して飲ませる。


 「あ、あの......アオイさんルカさん......少しこの子がご飯をたべるまで待っていただけませんか?」



 俺とルカは了承してそのまま血を飲んでる生物を見ると、その生物は見られて恥ずかしいのか身体をすひまるちゃんに向けて飲みだした......かわえぇのぅ。


 数分したら「ケプッ」と飲み干したのですひまるちゃんは「ちょっといい子に寝ててね」とまた押し入れに戻してしまった。



 「じゃぁ、状況整理、いいかな?二人とも」


 「のじゃ」


 「は、はい......」





 



 

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