第313話 利用する
「(すひまるちゃん!?)」
「(すひまるのじゃ!?」
ベルトコンベアーを流れてくる輸血パックをキョロキョロしながら鞄に詰めるすひまるちゃんはどこからどうみても泥棒だった。
「(ど、どうしよ)」
「(これはチャンスなのじゃ)」
「(チャンス?)」
俺とルカはヒソヒソとバレないようにベルトコンベアーで隠れながら話す。
「(奴の行動、むしろ仲間の吸血鬼に見られたらヤバイのじゃろう)」
「(そうだね......あれはどっからどうみたも泥棒)」
「(お主、奴の気をそらせるか?そして隙を作って欲しいのじゃ、その後はワシに任せるのじゃ!)」
「(それだけなら......わかった!)」
俺は頑張って気のそらし方を考えたが、やっぱり普段通りが一番ってことで、すひまるちゃんにコソっと近付いて
「わっ!」
「ぎゃ!」
軽く驚かせるつもりが思ったより驚かれてしまい、すひまるちゃんは腰を抜かして鞄に尻餅をついてしまった。
「あ、あ......」
「え、えーっと......なんかごめん」
すひまるちゃんの下半身はパックの中身でビッショリと濡れてしまい、すひまるちゃんは涙を流しだした。
パックの中身だよね?驚きすぎて漏らしたとかじゃないよね......?
現場!なんか気まずい空気です!助けてー!
「何をしていたのじゃ?すひまるよ」
助けに来たのはオッパイを片手で隠しながら来た半裸のルカでした。
「ひ、ひ......ルカさん」
「どうやら、驚きすぎて腰を抜かしてしまってたてないようじゃの、流石アオイじゃ、隙どころか行動不能にしてしまうとはのじゃ」
いや、これはたまたまなったんだけど......
「さて、と」
ルカは手にどこからともなく青く輝いてる剣を出して、すひまるの首に突きつける。
「【クリスタルブレード】切れ味は抜群なのじゃ、殺される理由はお主にもわかるな?」
「ひ、ひぃ......ハッ......ハッ、ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」
ルカの本気の顔にすひまるちゃんは涙を流し過呼吸になりながら謝る......なんか可愛そうだな......
「え、えと、ルカ?こう言ってるから」
「甘いのじゃアオイ、こいつは転移してきたときワシらを殺そうとしてた奴らと同じなのじゃ」
ルカは剣をすひまるちゃんの首につけるとすひまるちゃんの首筋から血が垂れてきた。
ヤバいヤバいヤバいヤバい!目の前でくびちょんぱを見てしまう!
「こ、ここですひまるちゃんを殺しても状況は変わらない......ここはほら、捕虜てきな......利用しよう!」
「なるほど、たしかに名案なのじゃ」
「じゃ、じゃぁその【クリスタルブレード】をおろして......」
「それなら、とりあえずコイツが仲間に連絡しないように持ち物全部調べるのじゃ、アオイ」
「え?」
「......」
【クリスタルブレード】を構えられたままのすひまるは諦めて手を上にあげてる。
身体を見ろと言うことだろう......だが
「そ、それって僕がやるの?」
「当たり前なのじゃ、コイツが怪しい動きをすれば斬る」
待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て!
い、一応確かに俺の身体は女だから、ここに居るのは女三人......だけど中身は男なんですけど!
「そ、そうだよね......じゃあ失礼して」
うわぁ......罪悪感で死にそう。
「ん......」
座ってるすひまるちゃんを服の上から触っていく。
首、胸、脇、お腹と下へ下へ......
うげぇ......ごめんよぉ、すひまるちゃん、今だけは俺を女として見ててくれ。
「な、なにも隠してないみたい」
「何を言っておる、触っただけじゃわからないのじゃ、魔皮紙はうすっぺらいからの」
「それって......」
「服を脱がせて裏まで確認するのじゃ」
すひまるちゃんはそれを聞いて服を脱ごうとするが
「貴様は動くな!のじゃ!」
「ごめんなさい!」
【クリスタルブレード】を突きつけられすひまるちゃんはまた手をあげる。
「アオイ。やるのじゃ」
にゃぁぁぁぁあ!!!罪悪感が!罪悪感の何かが俺を襲うよおおぉ!
「早くするのじゃ!」
「う、うん!」
俺は女......今は女......女だ、同じ身体だ!
そのまま俺は罪悪感に潰されそうになりながらすひまるちゃんを調べ尽くした。
ごめん......
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