第309話 『女神』討伐

 《????》


 光の届かない暗闇の中に王は今か今かと時を待つ。


 「早くこい......」


 王座の前には巨大な【転移魔法陣】が書かれており、その周り魔法陣の中心を囲うように数百の吸血鬼兵達、天井には王の操る『バットドラゴン』が数十体逆さで天井にはりついている。


 「本当に『女神』は来るのでしょうか?【アビ】様」


 「俺を疑うのか?」


 「いえ、そう言うわけでは......」


 「......少し前、我が吸血鬼が支配している《ミクラル》という人間の国の中に微弱だが女神の波動を感じた」


 「......」


 「そしてその町にたまたま潜伏していた我が下級の吸血鬼が居てな、奴に渡しておいたのだ、これを」


 王が指をふりその吸血鬼に一枚、小指くらいの長さの魔皮紙を空中に浮かせて渡す。


 「これは何なのでしょうか?」


 質問をした吸血鬼はその白い魔皮紙の裏と表をみるがまったくわからない。


 「それは、我ら魔王がいつも持っている魔皮紙だ、それをそいつに渡していたら反応した」


 「しかしこれだけでは......」


 その瞬間質問をしていた吸血鬼の首が飛ばされ、周りに青い血を撒き散らした。

 

 「これは【魔神】様が我らに預けたものだ、それを疑うなど万死に値する!」


 「......」


 先程まで動いていた吸血鬼は生気を失ってただただ青い血をだして床を汚している。


 「少し熱くなりすぎたな......」


 アビが指を鳴らすと一体の『バットドラゴン』が天井からおりてきてよだれを撒き散らしながら死骸を一口で呑み込みまた天井へ戻る。


 「【勇者】が来る前に『女神』と戦うことになるとはな、まぁいい、情報通りなら現在の我らの戦力で充分討伐できるらしい、ならばここで『女神』を倒し」





 「俺が新しい【魔神】になる」




 転移魔法陣が光だす。

 ついに来たのだ。



 「構えろ。」


 

 吸血鬼の兵達は魔法陣を構え、武器も構える。




 そして


  

 「着い......え?」


 「のじゃ!?」


 「へぇ......」


 






 「殺せ」






 転移してきたアオイとルカとルコサに一斉に魔法と武器が飛んでいった。



 


 


 

 

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