第287話 《我慢比べ》
{《物運び》では熱い戦いをしましたね!続きましてはマジック科考案の《我慢比べ》!}
その放送と共にアリスト科の生徒がグランドに大きな魔皮紙を敷く。
この魔皮紙が温度を調節して俺たちを苦しめるみたいなのだ。
{さぁ!一年も所定の位置につきました!勝つのはどの科か!ルールは簡単、アリスト科の生徒がこの魔皮紙に魔力を通して温度を変えます!それに耐えきれないと思ったら魔皮紙から出てください!時間が来て最後まで残っていた科の人数で勝敗が決まります!}
{さぁ!準備はいいですね?}
「もちろん!いいよ!」
放送の人に聞こえるわけでもないが言ってしまう。
だって今回本当にすごい作戦なのだから!
{開始!!!}
「よし!みんな行くよ!」
{さぁ、各科動き出した!注目するのは前回の競技で勝利したアドベンチャー科!おーっと?今回もまた何かを組み立てております!転送魔皮紙からでてるのは透明な板ですね?}
そう!今回も組立式!
「みんな!だんだん暑くなってきてるから気をつけて!」
例えるなら、夏の時、コンクリートが熱を反射して下から来る暑さがじわじわと出てきだした。
一応この競技はマジックドクターが目を光らせているので熱中症前には連れ出される仕組みになってる。
つまりそのドクターに少しでも危険だと感じさせたらアウトだ。
「そこに立てて!そうそう!早く終わった人は他の人を手伝ってあげて!」
やることはシンプルに転送されてきた盾に二メートル横に三メートル程の魔法強化板を隙間なく円上に並べていく。
マッスル達は早く終わり他の人を手伝ってる中すひまるさんの所には誰もいってなく、すひまるさんはヨロヨロと運んでいき
「あぅ!」
そのまま板の重さに耐えきれずに転けた。
板は少し厚みがあって確かに持ちにくいので慎重にしないといけない。
俺の方は終わったからすひまるさんの元にかけよる。
「大丈夫?すひまるさん」
「ひっ!は、はい......これくらい」
「いいよ、僕は終わったから一緒に持とう?」
「だ、大丈夫です......これくらい」
「え、でも」
「大丈夫!......ですから......こないで」
「う......」
心にグサッ......そんなに言わなくても良いじゃないか......
すひまるさんは板を持ってまたヨロヨロと自分の指定の位置に置きにいった......流石にあそこまで言われたらこれ以上手伝うとは言えない。
「なんで嫌われてるんだろ......」
「どうしたのじゃ?アオイ?」
ボソッと呟くと後ろからルカが来た。
「あ、ルカ......なんか僕すひまるさんに嫌われてない?」
「?、気のせいじゃろ、あやつはいつもあんな感じにトロいのじゃ」
「そうかなぁ......」
「そんなことより、もうそろそろ設置も終わるのじゃ」
「ほんとだ」
ここまでくれば後は!
{さぁ!どんどん気温は高くなっていく!現在の魔皮紙の上は37℃!早く処置を取らないと普通の状態なら脱水症状を起こしてしまうぞ!}
{この競技を提案したマジック科はやはり余裕の表情だ!情報によりますと暑いときは氷魔法の魔皮紙を生徒達が分析しこれをうまく使い体温調整をしていると言うもの!これは強敵だ!ちょっとやそっとじゃ動かないぞ!}
{そして......おおーっと!アドベンチャー科!水です!みんなで水魔法の魔皮紙を使って円の中に入れてます!これは!もしや!}
フッフッフ、今さら気付いても遅い!
「うん!そろそろいいかな!後はみんな!」
「'中に入ってから続けるよ!'」
「「「「おおおおお!」」」」
{プールです!なんとグランドにプール!そしてそしてそしてアドベンチャー科全員!水着です!水着になりました!......!ぐはぁ!..................}
アドベンチャー科の全員は制服の下に着ていた《水着》姿になる。
ちなみに俺はスクール水着だ......一応このモルノスクールにはプール授業があるので配布されている。
女物のビキニなんて着れるか!俺は男だからな!
「つめたっ」
魔皮紙からでた水は冷たく気持ちいい。
{失礼しました、少し取り乱しました......さぁ!アドベンチャー科はまさかのプール!誰が想像できたか!}
フフッ、そうだろう?これはあの会議の時、《水泳》という単語を聞いて思い付いたのだ。
俺はそこら辺詳しくないが熱伝導?みたいなのが違うのかな?いや、まぁ浅い考えなのだが名付けて!
《温かい時はプール!寒いときはお風呂!作戦!》
一応それぞれの板に貼ってある魔皮紙で温度を調整できるようにはしている。
「これで後は我慢対決!」
{さぁ!白熱して参りました!ちなみにですがビジネス科ではもう何人かリタイヤが出ております!}
「よし!これで有利!」
「のじゃ!気持ちいいのじゃ~」
「フフッちょっとルカ水がかかるって」
ルカが泳ぎだして水がかかりポニーテールの髪が濡れちょっとテンションがあがる。
が。
「それにしても......透明じゃなくて良かっよね......なんというか」
視線がヤバい......痛いほどヤバい。
なんかもう、見られてるところがどこか解る。
いや、まぁ、俺も男だし気持ちは解る。
「......いっそ全裸になってやろうかな」
「何かいったのじゃ?」
「いや、なんでもないよー」
お尻でも胸でも何でもみやがれ!
{さぁ!ここからが本番です!いきますよー!}
魔皮紙の周りアリスト科の生徒が増員!
「さぁ!かかってこい!」
此方も温度を冷たくする魔皮紙に泳いでいく。
{やってください!アリスト科のみなさん!}
一斉にアリスト科は魔力を通しはじめ、それとともに水から出ている部分から熱気が伝わり、プールの温度もあがってくる。
「みんな今だよ!」
アドベンチャー科のみんなは一斉に板に貼り付けてある魔皮紙に魔力を流す......すると、水の温度が徐々に下がってきた。
「よし!これで!」
準備も万端、何もかもが順調かと思われた。
その時だった。
「ご、ごめんなさい!」
「え?」
すひまるさんのその言葉と「パリン」という音がするまでは......
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